水墨画猿猴図

水墨画猿猴図

しなやかな長い腕と、ゴツゴツした幹の木肌によるコントラストがよく表現された美しい水墨画です。

猿猴(えんこう)とは、中国の四国地方および広島県に伝わる伝説の生物です。猿のように見えますが河童の一種とされ、海や川に住んで泳いでいる人間を襲っては、肛門から生きたまま肝を抜き取ってしまうと伝えられています。また、女性の姿に化けるという伝承もあります。キュウリが好物というのも河童と同様です。

ほかにも頭に皿をのせている、顔はなまずのようにぬめりを帯びているなどまことしやかにささやかれています。しかし実際にはテナガザルであり、それを目撃した人々が伝承を語り継いだのではないかという説が有力です。
中国南西部にはテナガザル(猿)やマカク(猴)と呼ばれるオナガザル科のサルが生息しており、これらを総称するのも「猿猴」です。

水墨画に描かれている猿猴の腕は、テナガザルのそれと酷似しており、またぎょろりとした目はどことなくユーモラスで人を襲うような危険な気配は見受けられません。枝になった柿をとろうと巧みに幹を伝い、ここまでやってきたのでしょうか。繊細な筆使いで体毛をあらわしている点も注目に値します。

日本での猿は、「(災難・苦難が)去る」ことから縁起の良い動物として知られていますが、同時に山の神としても崇拝の対象でした。
実は、同様の神格化は世界各国でみられます。中国では、猿は神秘的な存在とされており、またアフリカや古代エジプト、インドでは神や神の使者として崇められる存在として知られています。水墨画の題材として非常に縁起が良いテーマといえるでしょう。

水墨画は、墨の濃淡を巧みに使い分けて明暗をあらわし、ぼかしやにじみ、かすれといったさまざまな技法を使って景色や事物を表現していくものです。墨一色と思われがちですが色を入れることもあり、ここでは柿に淡い色がおかれています。強い色彩ではありませんが、墨一色の世界においては、ひときわみずみずしさの際立つ色といえるのではないでしょうか。

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