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田崎草雲について

雄大かつ繊細な作風で詩情をあらわした南画の大家

田崎早雲(たざき そううん)は幕末に足利藩の武士の子として生まれました。

幼少期は親族の金井烏洲(かないうじゅう)に絵画を学び、青年期には谷文晁(たにぶんちょう)・渡辺崋山(わたなべかざん)に師事しました。足利藩の絵師になるものの脱藩し、幕末の動乱の中で足利を守るために民兵組織をつくるなど、いったんは画業から離れました。

維新後は画業に復帰し、中国画の流れをくむ南画(文人画)を多く描きました。その作風はリアリズムよりも精神性を重視したもので、代表作の一棹揺山(いっとうようざん)は、山あいの川を一艘の舟がゆるやかに進む様子を描いたものです。

余白を広く使うことで画面に奥行きを作り、山河と舟、船上の人というシンプルなモチーフを詩情ゆたかに表現しています。中国発祥の文人画のなかに、田崎早雲ならではの斬新な感覚を持ち込んだ名品です。

田崎早雲は、明治23年(1890年)75歳の時に森寛斎らとともに帝室技芸員に任命されました。この年は帝室技芸員制度がスタートした初年であり、田崎早雲が当時の美術界で高く評価されていたことがよくわかります。

そして明治31(1898)年に84歳で亡くなるまで、地元の足利で画業に専念しました。
田崎早雲の作品は清浄な風格と幅広い作風で、国内だけでなく海外でも高く評価されています。スケールの大きさと繊細をあわせ持った作品が多く、現在でも人気のある日本画家です。

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