鈴木長吉

鈴木長吉:圧倒的な迫力で猛禽類のリアルさを追った、明治期の鋳業家

鈴木長吉(すずきちょうきち)は、明治期に活躍した鋳業家です。

出自や、ついた師など詳しいことはわかっていませんが、1874年設立の起立商工会の鋳造部の監督に就任した記録があります。
主に海外への輸出向けの作品を多く制作し、「嘉幸」の銘が使われています。フィラデルフィア万博に「銅製鋳物香炉(スコットランド王室美術館蔵)」を出品し、ミュルンベルグ万博では「青銅製鷲置物」を出品して絶賛されました。

モチーフとして鷲やタカといった猛禽類を好み、代表作の一つがシカゴ万博に出品した「鷲置物」です。こちらは現在、重要文化財に指定されており、東京国立博物館が所蔵しています。

またシカゴ万博には鈴木長吉が制作を指揮した「十二の鷹」も出品され、鋳業家としての名声を確立しました。1896年(明治29年)に帝室技芸員に任命され、名実ともに一流の名工となりました。

鈴木長吉の作風は、とりわけ猛禽類によくあらわれています。地に青銅などをつかい、その上に金や銀・赤銅などを象嵌して鋳造したもので、するどい観察力による写実性が圧倒的な迫力をもたらしています。

国内にも熱心なコレクターのいる名工ですが、ほとんどが「嘉幸」の銘のある作品で、しかも海外に輸出されているため、国内で作品が流通することが珍しい作家です。

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