茶道具の種類

茶道具

「茶道」は、お茶をたしなむことによって礼法や相手へのおもてなしの心をはぐくむ、日本の伝統文化です。
しかし本格的に茶道を始めるのはハードルが高い…と心配で茶道デビューに踏み切れないこともあるでしょう。そんなときは、茶道具を「見る」・「知る」ことから始めませんか?
茶道具には「茶碗」「茶器」「茶釜」「茶杓(ちゃしゃく)」などたくさんの種類があり、初心者は混乱しがちです。そこで、ここでは「基礎の茶道具13種類」の名称や使い方を、次の2点にわけてご紹介しましょう。

  1. 茶室で使う基本的な茶道具の10種類
  2. 床の間におく茶道具の3種類

じつは「茶碗と茶筅」のふたつがあればどこででも抹茶を楽しむことができますが、ちょっとしたお道具の知識があれば、茶道の楽しみは、より深まって広がります。
「お道具鑑賞」からお茶の世界に親しんでみませんか?

1.茶室で使う基本的な茶道具の10種類

「茶道具」とは、茶道で使われる道具類のことです。非常に種類が多いのですが、ここでは以下の「基本の茶道具10種類」をご紹介しましょう。

  1. 茶碗
  2. 茶器
  3. 茶杓
  4. 茶筅
  5. 茶釜・風炉
  6. 水指
  7. 柄杓
  8. 風炉先屏風
  9. 建水
  10. 帛紗

茶道具のなかには骨董品・古美術品としても評価されている名品が多いですが、重要なことは「鑑賞物ではなく、実用品である」ということ。
茶室で使うお道具はそれぞれ役割を持ち、不要なものは一つもありません。
また茶道具の取り合わせによって茶室全体の雰囲気がかわり、お茶席の格を表現することもあります。
まずは基本の茶道具の名称や役割を覚えましょう。

1.茶碗

茶道具の中でも、最も重要な道具といわれるのが「茶碗(ちゃわん)」です。
茶碗は抹茶を飲むための器で、産地や作り方によって種類がわかれています。ここでは産地別に次の3種類をご紹介しましょう。

  1. 唐物(中国の茶碗)
  2. 高麗物(朝鮮半島の茶碗)
  3. 和物(日本の茶碗)

茶碗は種類が多いため、上記3つの種別の中でも細かく分類されています。ここではそれぞれのジャンルの最高級といわれる茶碗を、一つずつ選んで説明しましょう。
茶道具の基本となるもので、骨董品としても高額査定される名品が数多く残るお道具です。姿や色合いなど見どころが多くあり、知るほどに魅力が感じられます。

1.唐物

「唐物(からもの)」は、中国由来のお茶碗です。ただし中国のものだけに限定されず、ベトナム産の「安南茶碗(あんなんちゃわん)」も「唐物」と呼ばれることがあり、外国産の茶碗の総称と考えてもいいでしょう。
「唐物」のなかで最上級とされるのは「天目茶碗(てんもくちゃわん)」です。
「天目茶碗」は、天目釉(てんもくゆう)と呼ばれる釉薬をかけて焼いた陶器の茶碗で、なかでも中国・福建省にあった「建窯(けんよう)」で作られた「建盞茶碗(けんさんちゃわん)」が最高級と言われています。また江西省にあった「吉州窯(きっしゅうよう)」の「玳皮盞茶碗(たいひさんちゃわん)」も日本で国宝に指定されている貴重な茶碗です。
天目茶碗は色が非常に美しいのが特徴で、とくに「曜変天目(ようへんてんもく)」は、内側にある「曜変」と呼ばれるまだら模様のメタリックブルーが目を引きます。
「曜変天目」はいまだに作り方が分かっておらず、世界中に現存するものは日本にある4椀のみだと言われています。4椀のうち3椀は国宝に、1椀は重要文化財に指定されているという、価格のつけようもないほど貴重なものです。

2.高麗物

「高麗物(こうらいもの)」は、朝鮮半島由来のお茶碗です。
「高麗物」のなかで最上級とされるのは「井戸茶碗(いどちゃわん)」です。
「井戸茶碗」は、朝鮮の李朝時代に作られたと言われ、非常に物寂びた外見が「侘び・寂び」に合致したとして、日本の茶人に好まれました。「枇杷色(びわいろ)」という黄色味がかった茶色であることが名品の条件です。
「井戸茶碗」という名前の由来は定かではありませんが、茶碗の底から中ほどまでの「見込み」をのぞきこんだ時に、井戸のように深く感じられることから名づけられたと言われています。
ろくろを使って作られた茶碗ですが、あえて完璧な形に仕上げず、ゆがみや割れなどが残されているのが特徴。また茶碗の肌にあらわれる「貫入(かんにゅう)」というヒビが、大小こまかく混じって自然な表情となっています。

3.和物

「和物(わもの)」は、日本で作られた茶碗です。「唐物」のなかでも茶人に愛されているのは「楽焼(らくやき)」。
「楽焼」は、16世紀の桃山時代に、楽家(らくけ)の初代である長次郎によって始まった焼き物です。色釉・黒釉・聚楽土の赤色などを使い、色味をおさえて千利休の「わび茶」の美意識を表現していると言われます。
楽焼は、ろくろを使わずに手で土をこねる「手捏ね(てづくね)」の成形が特徴。茶碗は手で成形した後に箆(へら)で削り、形を整えます。箆のあとが「見どころ」となり、自由度の高い茶碗が作れるため、手の中に小さな世界がすっぽりとおさまっているようです。
また、楽焼は「内窯焼成(うちがましょうせい)」と言って、屋内に作られた小さな釜で焼き上げられます。1,200℃以下で焼成できるため、本家である「楽家」が作った「本窯」以外にも、同じ製法で作った「脇窯」の名品も多数あり、種類や見どころの違いが楽しめる茶碗です。

2.茶器

「茶器(ちゃき)」は、お抹茶を入れるための容器です。「濃茶」「薄茶」で使い分けられているため、ここでは次の2種類に分けてご説明します。

  1. 茶入(濃茶用)
  2. 棗(なつめ・薄茶用)

「茶入」も「棗(なつめ)」も、茶室にお抹茶を持ち込むために必要な茶道具で、陶器でできた小さな壺です。肩の部分が角張っている「肩衝(かたつき)」、下がふっくらとしている「茄子(なす)」など、名称を聞くだけで形がイメージできるのが特徴。
昔から名品の多い茶道具で、茶道を学ぶ人にとっては重要なお道具です。

1.茶入

「茶入(ちゃいれ)」は、「濃茶(こいちゃ)」用の抹茶を入れるための茶道具です。
「濃茶」は「おこい」ともいい、濃厚なお茶を点てること。茶席に列席する人数分のお茶を同時に一椀にたてて、それを順番に飲みまわします。
濃茶のほかに「薄茶(うすちゃ)」がありますが、この二つに使うお茶は違っているため、茶室に持ち込む場合、濃茶は「茶入」に入れ、薄茶は「棗(なつめ)」に入れると決まっているのです。
「茶入」はおもに焼き物で作られており、産地により中国製の「唐物(からもの)」、日本製の「和物(わもの)」に分かれます。和物よりも唐物の茶入が格上とされ、茶道を学んでいるひとでも、一定以上のレベルまでお稽古が進まなければ「唐物の茶入」は使用できません。
茶入の形状はさまざまで、リンゴ型の「文琳(ぶんりん)」や中央部分にくびれのある「瓢箪(ひょうたん)」、細長い形の「鶴首(つるくび)」などがあり、茶席の趣向によって使い分けられるお道具です。
茶席での茶入は、「金襴(きんらん)」や「緞子(どんす)」といった豪華な布地で作られた「仕覆(しふく)」と呼ばれる袋に包まれて、「仕覆」「茶入」ともに鑑賞されます。

2.棗

「棗(なつめ)」は、「薄茶」用の抹茶を入れるための茶道具です。
棗(なつめ)の素材は基本的に木製で、植物のナツメの実に形が似ているために、名前がつきました。
多数の種類がありますが、ベースとなるのは「利休棗(りきゅうなつめ)」で、サイズによって「大棗(おおなつめ)」「中棗(ちゅうなつめ)」「小棗(しょうなつめ)」にわかれており、「小棗」には濃茶を入れて使用することもあります。
実際の形状は「ナツメ型」だけでなく、中棗サイズで下の方が張り出している「尻張棗(しりばりなつめ)」や大棗サイズで低く横に広がった形の「平棗(ひらなつめ)」など、多種多様です。
棗は本来、黒漆を塗っただけのシンプルな茶道具でしたが、時代がくだるにつれて、朱色の下地に半透明の漆を塗った「溜塗(ためぬり)」や、漆で絵付けをした後に金粉などをまいた「蒔絵(まきえ)」で装飾した豪華なものも使われるようになりました。

3.茶杓

「茶杓(ちゃしゃく)」は、抹茶を「茶入」・「棗」から、茶碗へ移すときに使う茶道具です。
素材は主に竹ですが、ほかにも梅の木や桜の木、なかには象牙製の茶杓もあります。一般的な長さは約20センチで、使用後は劣化を防ぐために乾いた布でよく拭いて竹の筒に収納。素材が木材であるため、水洗いは厳禁です。
茶杓には作者がつけた「銘(めい)」がついているものが多く、標準的な形やサイズは決まっているものの、一本ずつに個性があります。
しかし、千利休が登場する以前の茶事や茶会では、そのたびごとに亭主(茶会の主催者)が作っていたとも言われており、一回使い捨てだったために古い茶杓はあまり残っていません。

4.茶筅

「茶筅(ちゃせん)」は、お抹茶を点てるためのお道具です。
抹茶は茶葉を粉末にしたもののため、お湯を注いでもとけません。お茶碗の中で、抹茶を均一に分散させるために茶筅でかきまわす必要があるのです。
茶筅の主な素材は竹ですが、流派によって使用する竹の種類が違っています。たとえば、裏千家では白竹を用いますが、表千家では煤竹(すすたけ)の茶筅を使用。また濃茶・薄茶用でも形がことなり、茶筅の先の「穂(ほ)」が荒いものは濃茶用で、「穂」の細かい物は薄茶用です。
茶道初心者には穂の細かい茶筅の方が扱いやすく、おすすめだと言われています。

5.茶釜・風炉

「茶釜」「風炉(ふろ ふうろともいう)」は、茶道に必要なお湯を沸かす茶道具です。
「茶釜」は鉄でできており、形状・大きさはさまざま。日本国内で作られていて、福岡県の芦屋(あしや)、京都などが主な産地です。蓋は一般的に青銅製の「唐銅蓋(からかねぶた)」を使うか、窯と同じ鉄製のものを使います。骨董的な価値のある古い茶釜も数多く残り、美術館に収蔵されているものもある重要なお道具です。
「風炉」というのは、風が入る形になっている炉のこと。茶室では風炉の上に茶釜をかけて、湯を沸かします。
風炉は鎌倉時代の初期に中国から渡ってきたと言われ、千利休や武野紹鷗(たけのじょうおう)より以前の茶道では、1年じゅう風炉で湯を沸かしていました。
現在は夏の間は風炉を使い、冬は畳を切って作った「炉」に火を入れて使うのが一般的です。

6.水指

「水指(みずさし)」は、窯のそばに置いて、茶席で使う水を入れておく道具です。お点前のときには、釜に水を足したり茶碗や茶筅をすすいだりと水がよく使われますので、茶室には欠かせない茶道具の一つとされます。
水指はおもに陶磁器で作られており、ほかにも金属・陶磁器・漆器(しっき)・木製のものがあり、季節によってはガラスなども使用します。形状も豊富です。
蓋がついているものが多く、水指のデザインと蓋の素材・形状のバランスを取るなど工夫する楽しみがあります。

7.柄杓

「柄杓(ひしゃく)」は、茶釜や水指(みずさし)から湯水を取るときに使う茶道具です。
多くは竹製で「合(ごう)」と呼ばれる水を汲む部分と、持ち手である「柄(え)」の部分でできており、使う時は、柄の節部分に人差し指が来るような形で用います。
柄杓は「風炉用」の合(ごう)が小さなものと「炉用」の大きめなものに分かれ、風炉用の柄杓は、柄の端の部分である「切止(きりどめ)」の身が斜めに切られています。炉用の柄杓は「切止(きりどめ)」が、皮目を斜めにしてあるので見分けがつきます。
この柄杓をひくときには「蓋置(ふたおき)」という道具を使います。
蓋置の素材は唐銅(からかね・青銅製のもの)、陶磁器、 竹などがあり、竹製の蓋置は風炉用・炉用で異なる形のものです。
風炉用は「天節(てんぶし)」で、蓋置の上端に「竹の節」があり、炉用は「中節(なかぶし)」といって節が真ん中にあります。

8.風炉先屏風

「風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)」とは茶室のなかの風炉の前に置く二つ折りの屏風のことです。
風炉先屏風の目的は三つあり、

  1. 茶室の空間を仕切るため
  2. 茶道具を風から守るため
  3. 背景となって、茶碗や茶器などの道具を引き立てるため

です。

なお風炉そのものは、現在は夏の期間に使うのが一般的ですが、風炉先屏風は一年じゅう使用します。
ただし夏の間は透かしのあるものや、竹・網代・葦でできた屏風で清涼感を出し、冬は丈の高い物を使うこと多いようです。
風炉先屏風は、茶室にアクセントをつける重要な茶道具ですが、絵が描いてあるなど、とくに美術的な装飾がされていません。あくまでも茶道具を引き立てるものであり、シンプルに空間を区切るためのものなのです。

9.建水

「建水(けんすい)」は、茶室の中で茶碗を清めた湯や水を入れる茶道具です。
「こぼし」ともいい、お道具としての格は高くありませんが、お手前の時には必ず必要な道具のため、客からは見えないところに置かれます。
建水は陶器・磁器でできているものが多いのですが、曲物(まげもの)という木製のものや唐銅(からかね・青銅製のこと)など金属製のものもよく使われます。
素材・形状に特定の決まりはなく、現在では軽くて丈夫な樹脂製の建水もありますが、これから茶道を始めようという人は、「利休型」の唐銅性を購入すると長く使えるのでおすすめです。

10.帛紗

「帛紗(ふくさ)」は、お手前の時に茶杓や茶器を清めるために使う布です。「塩瀬(しおぜ)」という布地で作り、茶席を主催した「亭主」が身に着けているもので、その日の「亭主」の目印にもなる茶道具。
色は、男子が紫、女子は赤が基本色です。
流派によってサイズが違い、使い方にも違いがあります。
たとえば「古帛紗(こぶくさ)」という帛紗は、裏千家で使われるもので、お茶を出すときや拝見する道具をのせるときなどに使います。古帛紗の場合、布地は塩瀬に限らず金襴や緞子、間道(かんとう)という縞模様の織物など、模様がある布が一般的です。
ただし古帛紗は裏千家だけで使用され、表千家・武者小路千家では帛紗をそのまま使います。

2.床の間の茶道具の種類

茶室の中には「床の間(とこのま)」が作られています。
茶道における床の間は、「侘び・寂び」にふさわしい簡素な装飾性を表現する場所で、その日の茶席のテーマが詰まっている空間です。ここでは、床の間に飾るもの3種類をご説明しましょう。

  1. 掛軸
  2. 花入
  3. 香合

この3つは重要な茶道具でもあり、それぞれ貴重な骨董品でもあります。茶会に招かれた客は、茶室に入って床の間を拝見することで、道具の取り合わせを考え、その日のおもてなしの心を感じ取るのです。

1.掛軸

「掛軸(かけじく)」は床の間に掛けて、鑑賞する美術品です。「掛け物(かけもの)」ともいい、お軸に書かれている内容がその日の茶会のテーマ、亭主のおもてなしの気持ちなどを表現することから、お茶道具の中でも非常に重要な役割を持っています。
室町時代には「唐絵」が多く使われましたが、茶人・村田珠光(むらたじゅこう)が、一休禅師から「墨跡(ぼくせき)」をさずかってから、「墨蹟」「古筆」等が床の間にかけられるようになりました。
現在でも、やはり茶室の掛軸は文字だけで書かれたものが基本です。
仏教の禅の言葉「禅語」を一行で書いた「一行物(いちぎょうもの)」がよく使われ、文字と絵の両方が書かれた「画賛(がさん)」では、とくに茶人が描いたものが適していると言われます。

2.花入

「花入(はないれ)」は、茶室内で花を飾るための道具です。
茶席に招かれた客は、茶室に入って掛軸とともに花および花入を拝見します。花入は茶室内で季節を表現する貴重な茶道具であり、客をおもてなしする亭主の姿勢をあらわす茶道具です。
花入の形状は一輪挿しで、素材としては唐銅(からかね)・焼物・竹などがあります。
位が高いのは金属製および中国製の陶磁器の青磁・赤絵。ついで、日本でできた釉薬のかかった瀬戸焼きなどの陶磁器の花器が続き、最後に釉薬なしの備前・信楽焼きなどの陶磁器・竹製という序列です。

3.香合(こうごう)

「香合(こうごう)」は、香をいれるための小さな器です。床の間に花入(はないれ)とともに飾り、香りを楽しみ、茶室内に清浄感をもたらします。
香合も、季節を表現する貴重な茶道具。夏の風炉の季節には木製や漆器の「塗物(ぬりもの)」の香合を使い、なかには白檀(びゃくだん)など角割にした香木を入れます。
冬の炉の季節では、床の間に陶磁器製の香合を置き、なかには練り香を入れるのが決まりです。
ほかにも、ハマグリなど二枚貝の貝殻をつかった香合があり、これは季節に関係なく1年じゅういつでも使えます。
最近の茶席ではあまり香合を見なくなりましたが、こまかい細工や伝統工芸の技術が凝縮されたような古美術品です。手のひらに乗るサイズにもかかわらず、目を見張るような名品の数々ですので茶室ではぜひ鑑賞しましょう。

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