虎の掛け軸で有名な画家(作者)

虎の掛け軸の中でも、特に価値が高いとされる作品は、次の作家の手によるものです。
作者名 |
作品 |
円山応挙 |
猛虎図・水呑虎図など |
大橋翠石 |
大虎図・岩上猛虎之図など |
三尾呉石 |
寒風猛威・猛虎など |
円山派を構築した円山応挙
円山応挙(まるやまおうきょ)は、1733年に生まれた江戸時代中期〜後期の絵師で、京都画壇に現在まで続く円山派の祖として知られる人物です。
写実的で、現代の目から見ても親しみやすい意匠が特徴で、虎を題材としたものには「猛虎図」、「水呑虎図」があります。
世界で名声を得た大橋翠石
大橋翠石(おおはしすいせき)は、1865年に美濃国(現在の岐阜県)で生まれた日本画家です。
虎の絵を描き続け、パリ万博では日本人で唯一の金牌を受けるなど世界でその実力を認められました。
「虎の翠石」と称され、体毛の美しいアムールトラを好んで描きました。後述する三尾呉石の才能を見抜き、弟子として指導をしています。
「虎の呉石」と異名をとった三尾呉石
三尾呉石(みおごせき)は、1885年の東京に生まれた日本画家で、「虎の呉石」の異名で知られています。
15歳で初めて日本美術協会に絵画を出品してその腕を認められて以降、作品展で数回入選を果たし画家として大成しました。大橋翠石に師事していた時期もあります。
虎を精密に描くため、満州や朝鮮、インド、アラビアの写生旅行を敢行するなどストイックな性格で知られています。
虎の掛け軸に込められた意味と願い

そもそも、なぜ虎は掛け軸の題材としてよく用いられるのでしょうか?
答えは、「縁起の良い動物」だからです。虎の掛け軸を飾ることは、虎の生命力や強さにあやかることにつながり、縁起の良い贈り物として用いられることもあります。
掛け軸本体にも、願いを掛けるという意味があり、古くから健康や安全、出世を思って掛け軸が飾られてきました。また、長寿や出世といった喜ばしい出来事のお祝いとして贈ることもあります。
掛け軸のモチーフ |
意味 |
虎単体 |
家内安全・強運・魔除け・厄除け |
龍虎 |
立身出世(龍)・強靭な生命力(虎) |
白虎 |
厄を払って商売を守護する |
鳥と虎 |
末永い幸福や運気上昇を願う |
鳳凰と虎 |
天下泰平・善人 |
虎単体
虎には「一日して千里を行き、千里を帰る」という言葉があります。
一里は約3.9kmといわれており、換算すると千里は3,900kmにもなります。そんな途方もない距離を一日で踏破するくらい強いと讃えられる虎は、その強さをもって厄災を振り払い、家を繁栄させると考えられてきました。そのため虎単体が描かれた掛け軸は、家内安全や強運という意味があります。
また、虎単体の構図の中でも、正面を睨みつけている掛け軸の場合は「八方睨みの虎」といわれ、欲に強い魔除けや厄除けの意味があるとされています。
正面から鋭い視線を向ける虎の掛け軸、少し恐ろしい感じもしますが、実は家を守って運を引き寄せてくれる守り神なんですね。
龍虎
龍虎とは、その名の通りに龍と虎が描かれている構図のことです。
龍虎は立場や力が同じくらい優れている二人という意味もありますが、掛け軸としての龍虎は、龍が立身出世を、虎が強靭な生命力を表します。
龍は天に昇っていくために運気が上昇することや、運を開く力をもたらすことを意味しており、ダイナミックでエネルギッシュな掛け軸といえるでしょう。
白虎
白い虎は、風水において西の方角を守る神獣とされています。
また、人が賑わう街道をあらわすこともあり、商売繁盛を願う掛け軸のモチーフとして知られています。
虎自体がもつ強運や生命力といった意味も含めて、厄を払って商売を守護するという祈りが込められています。
鳥と虎
鳥は、厄をついばんで家内安全を保つとされる雀、鬼門には巣を作らないことから巣を作る=幸福が訪れるとされる燕、荒波を乗り越えて成功をつかむ象徴とされる千鳥、「不苦労」の当て字から不老長寿のしるしとされるフクロウ、同じく長寿を祝う鳥である鶴、虎と同じく魔除けとなってくれる孔雀、龍と同じく運気上昇を表すタカなど、さまざまな種類が描かれます。
いずれの鳥も、虎とセットであしらわれることで、末永い幸福や運気上昇を願うものとなります。
鳳凰と虎
鳳凰とは架空の鳥で、天下泰平の世に姿を表す瑞鳥とされています。
善人を祝福する縁起の良い鳥として、虎と合わせて掛け軸に描かれることも。強運をもたらす虎と組み合わさると、絵柄も豪華でおめでたい印象になります。
風水における虎

虎は、風水において仕事や商売の運気を司り、金運を上げるエネルギーをもつと考えられています。
また、厄除けや魔除けとしても大切にされていて、邪気が入り込まないように虎の掛け軸や置物を飾ることもあります。
白虎は西の方角を守る神獣とされていて、風水では特に重んじられています。
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円山応挙をはじめとして多くの有名画家が、虎の掛け軸を描いてきました。
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