金は、古代から尊重されてきた貴金属です。変質しにくく価値が変わらないために、資産として大切に守られてきました。お手元に金ジュエリーをお持ちの方も多いでしょう。
では、所有する金製品は本物か、金メッキか。見分けをつける方法はあるでしょうか。
ここでは次の4点から「金製品と金メッキの見分け方」をご紹介しましょう。
- 金メッキとは何か
- 金製品とメッキ、刻印の違いで見分ける
- 金メッキ刻印の種類を知る
- 刻印のない製品の価値を知る
金か、金メッキか。見分ける方法を知ることで、購入時に「適正価格かどうか」を判別することが出来ます。お手持ちのジュエリーや金製品の正確な価値を知っていれば、保管や売却についてじっくり考えるきっかけにもなるでしょう。
金メッキとは、金属の表面を金で覆う加工処理
「金メッキ」は、金属でできたものの表面をごく薄い金で覆う加工処理のことです。外観を美しくしたり、金の長所である耐食性の高さなどを付与したりするのが目的。またごく少量の金で加工できますので、制作コストが低くなるというメリットもあります。
金メッキは、おもに2種類に分けられます。
- 装飾メッキ
- 機能メッキ
「装飾メッキ」とは、金の美しさ、豪華さ、高級感を生かすための加工処理です。
ジュエリーや置物、仏具などに施すメッキで、寺社の金装飾部分に用いられることもあります。一般的に「金メッキ」と言われてイメージするものは、装飾メッキが多いでしょう。
「機能メッキ」とは金の電気伝導性の高さ、耐食性の高さ、変質しにくい特性を生かすための処理です。
機能メッキ製品は、デジタル機器の精密部品や半導体、自動車の電子部品・電気回路に使用されています。
電子部品に金が使われていると聞くと少しびっくりしますが、金は空気中・水中で非常に安定している物質のひとつです。腐食しにくく耐久性が高いため、電子部品として安定的に力を発揮できます。
実は日常的に使われる電子部品、自動車部品には金メッキがほどこされているものが多いのです。
金メッキを見分ける方法
金と金メッキを見分ける方法は、次の3点です。
- 刻印で見分ける
- 重さの違いで見分ける
- 買取業者に判定を依頼する
最近は金メッキの技術が上がり、金か金メッキかの判別がむずかしくなっています。それでも刻印や重量から見分けることもできますので、目安として知っておきましょう。
刻印で見分ける
刻印 | 意味 |
---|---|
GP | Gold Plated、メッキ |
GF | Gold Filled、金張りメッキ |
GR | Gold Rolled、金張りメッキ |
GS | Gold Shelled、金張りメッキ |
RGP | Rolled Gold Plate、金張メッキ |
GEP | Gold Electro Plated、電気メッキ |
HGE | HARD GOLD ELECTROPLATED、電気メッキ |
WGF | White Gold Filled、ホワイトゴールド張りメッキ |
金メッキの刻印は「K+数字+アルファベット」の組み合わせが主流です。
Kの後に続く数字が、「メッキに使用された金の純度」をあらわします。最後のアルファベットが「メッキの種類」をしめし、全体で「どの純度の金を使って、どういう種類のメッキをしたか」が分かる仕組みになっています。
金メッキの刻印は複数の種類があります。主な刻印の意味をみていきましょう。
刻印「GP」は電気を使って金をコーティングしたもの
「GP」は「Gold Plated=金メッキ」の略語です。「K18GP」は、K18=純度75%の金を使ったメッキ製品であることをあらわしています。
つまり「K18GP」の刻印があれば、製品の土台になる金属(ベースメタル)の種類にかかわらず、表面にK18の金をコーティングした金メッキ製品です。
コーティングされた金は、非常に薄い膜です。平均的に3~5ミクロンの厚さで1000分の3~5ミリしかありません。
ベースメタルは真鍮や銀、銅が多く、コーティングされる金は微量ですから制作コストは低く抑えられます。金によく似た外見の豪華なジュエリーが、安く大量に作れるのがメリットです。
GPによく似た刻印で「GEP」もあります。「Gold Electro Plated=電気メッキ」の略です。
メッキの作業工程で「電気分解」という加工処理方法がおこなわれていることを意味します。
GPと同じ「金メッキである」という刻印です。
刻印「GF」は、金張りしたもの
「GF」は「GOLD FILLED=金張り」の略語です。「K18GF」と言う刻印は、K18=純度75%の金を張り付けてあることをあらわしています。
ベースメタルにK18の金を重ね、900度前後で加熱・圧延して作られたものです。
GFとGPの違いは、コーティングされた金の厚み。
GFの金は金メッキ=GPよりも80~100倍の厚みがあります。金の量が多いために、より金の色にちかく摩耗にも強いのが特徴です。
たとえば「1/20 14KGF」の刻印は
- 「1/20 14KGF」の刻印
- ベースメタルに圧着した金が、素材の総重量に対して1/20以上ある
- 圧着した金の純度はK14(純度58.5%)である
という意味です。
またGFの刻印がついている製品は高温で金を圧着しているために、金メッキよりも金がはがれにくい特徴があります。
最近はネックレスやイヤリングなどジュエリーのほか、眼鏡にも「GF」の刻印が見られます。
なかには「1/20 14K」というように、GFがない刻印もあります。
刻印「RGP」は、厚みの薄い金張り
「RGP」は「ROLLED GOLD PLATE」の略語です。
GFとの違いは、金張りされた金の割合にあります。RGPの刻印があるなら、表面の金製品重量に対して5%未満と決まっています。GFは5%以上ですから、RGPのほうが金合金の割合が低いのです。
またベースメタルである銀や真鍮の片面にだけ金張りしたものも、RGPの刻印が打たれています。
RGPはGP=金メッキより金の層が厚く、目安として5ミクロン以上の厚みでコーティングされています。メッキよりも金がはがれにくく、耐久性の高いのがメリットです。
刻印「KT」「KP」はメッキではなく、金製品
メッキと混乱しやすい刻印として
- KT
- KP
があります。
実はどちらも、メッキではなく金製品をあらわします。偽物ではなく、本物の金製品なので注意が必要です。
たとえば「18KT」なら、K18=純度75%の金製品のこと。「18KP」も同じ意味です。
KTはKarat=カラットというドイツ語から来た記号で、KPのPは「Plumb」の略。英語で「完全に・正確に」をあらわす言葉で、「純度は、正確に18Kです」と言う意味なのです。
KTもKPも、国産のジュエリーではあまり見かけない刻印です。「KP」は、アメリカの金ジュエリーに多く見られます。18KPも24KPも純度の高い金ですから非常に高価です。
金製品にK以外のアルファベットがついていると金メッキの刻印であるケースが多いため、混同しやすいので注意しましょう。
金と金メッキの重量の差を見る
金製品と金メッキでは重さが違います。重いのは金製品のほうです。
金製品は製品の中心部まですべて金の合金で作られています。K24のリングならリングを切断した場合の中心部までK24=純金です。重量は金の重さと同じですから、非常に高価です。
金メッキの場合は、リング部分は真鍮や銀、銅で作られ、表面にK18やK14の金合金がコーティングされています。
金の密度と銀や銅の密度が異なるため、同じサイズでも金製品とメッキでは重さが違います。
たとえば金、銀、銅の密度を見ると、
金の密度 | 19.3g/cm3 |
---|---|
銀の密度 | 10.5g/cm3 |
銅の密度 | 8.96g/cm3 |
です。
純金と銀+金メッキでは、重量に約2倍の差があります。
そのため同じサイズのものを重量で比較すると、金メッキのほうが軽くなるのです。
実際には、外見で金と金メッキを見分けることは非常に難しいものです。
メッキ製品の表面には金の層がコーティングされていますから、外見は金製品と同じような光沢、色合いを持っています。しかし重量を比較すれば、金製品とメッキには、明確な違いがあるのです。
買取店に判定を依頼する
金製品か、金メッキか見分けたいなら、貴金属の買取店で判定してもらう方法もあります。
金および金メッキのなかには刻印がないものもありますし、重量では判別しにくい製品もあるからです。
たとえばタングステンという重金属は、金とほぼ同じ密度19.3g/㎠です。
タングステンは電球のフィラメントや電極に使用される重金属。金とは比較にならないほど安価で、多量に出回っています。
もしタングステンをベースにして指輪を作り、金メッキをほどこしたら、重さはほとんど同じです。見分けることは難しいでしょう。
しかし貴金属の買取店にはX線分析計や純金判定器、貴金属テスターなどがありますので、判別できるのです。
貴金属の買取店では、無料査定を実施しているところもあります。
金製品か、金メッキか不明なものは、店頭で判定してもらうといいでしょう。
刻印のないものは、金か金メッキか
所有する金ジュエリーに刻印が見当たらない。こんなときは、金メッキではないか? と思われるでしょう。メッキでは査定金額が低いのも仕方がないか……。
しかし、刻印がない=金メッキだとは断言できないので注意が必要です。
一般的には、金製品には「K+数字」の刻印が打たれています。リングなら内側、ネックレスなら止め金具の部分に刻印があります。
刻印は金かメッキかを見分ける場合、大きな決め手になりますが、メッキがない金製品も存在します。
なぜなら、貴金属に刻印を打つことは義務化されていないからです。
金は貴重な貴金属ですから、一般的には純度が高い金製品にはメーカーやブランドが刻印を打ちます。素材である金の価値を保証するためです。
あるいは造幣局に品位試験を依頼し、「ホールマーク」という「日の丸国旗+ひし形の中の数字」で純度をあらわす刻印を打ってもらいます。
しかし金製品の打刻は任意であって、国によるガイドラインや法律で定められたものではありません。
したがって金の純度が高くても刻印のない品物があり、刻印の有無だけでは金メッキと断定することはできないのです。
古い金製品や海外で購入したジュエリーのなかには、刻印がないものも存在します。その場合は、やはり買取業者で専用の測定器を使い、金か金メッキかを判定してもらうのが安心でしょう。
なお貴金属への刻印は任意ではありますが、意図的に製品の純度と異なる刻印を打つのは犯罪行為です。純度と刻印が異なっているとわかっていて販売するのも、犯罪行為に当たりますので注意しましょう。
金か金メッキか、見分けのつかないものは経験豊富な業者へ
古代から人気のある金。金メッキのジュエリーや金杯、メダルなどがたくさん作られています。金かメッキかを見分けたいときは、次の3つの方法を使ってみましょう。
- 刻印を見る。金メッキなら「GP」「GF」と打刻
- 重量をチェックする。金メッキは軽いものが多い
- 貴金属買取の経験が豊富な買取店で見分けてもらう
金メッキは、金と似た豪華な外見に軽さというメリットを持っています。気軽なジュエリーとして、人気が高いものです。
日常的に使っているリングやネックレス、眼鏡などに刻印があったらチェックしてみましょう。
刻印には、どのようなタイプの金メッキなのか、使われている金の純度はどれくらいか、などの情報が詰まっています。
刻印がない場合は、メッキではなく金製品の可能性もあります。経験豊富な買取業者に相談してみましょう。
刻印が見つからないジュエリー、知らない刻印がついている製品でも、無料で判定してくれるので安心です。