金メッキの見分け方と刻印

金は、古代から尊重されてきた貴金属です。変質しにくく価値が変わらないために、資産として大切に守られてきました。お手元に金ジュエリーをお持ちの方も多いでしょう。
では、所有する金製品は本物か、金メッキか。見分けをつける方法はあるでしょうか。

ここでは次の4点から「金製品と金メッキの見分け方」をご紹介しましょう。

  1. 金メッキとは何か
  2. 金製品とメッキ、刻印の違いで見分ける
  3. 金メッキ刻印の種類を知る
  4. 刻印のない製品の価値を知る

金か、金メッキか。見分ける方法を知ることで、購入時に「適正価格かどうか」を判別することが出来ます。お手持ちのジュエリーや金製品の正確な価値を知っていれば、保管や売却についてじっくり考えるきっかけにもなるでしょう。

金メッキとは、金属の表面を金で覆う加工処理

「金メッキ」は、金属でできたものの表面をごく薄い金で覆う加工処理のことです。外観を美しくしたり、金の長所である耐食性の高さなどを付与したりするのが目的。またごく少量の金で加工できますので、制作コストが低くなるというメリットもあります。

金メッキは、おもに2種類に分けられます。

  1. 装飾メッキ
  2. 機能メッキ

「装飾メッキ」とは、金の美しさ、豪華さ、高級感を生かすための加工処理です。
ジュエリーや置物、仏具などに施すメッキで、寺社の金装飾部分に用いられることもあります。一般的に「金メッキ」と言われてイメージするものは、装飾メッキが多いでしょう。

「機能メッキ」とは金の電気伝導性の高さ、耐食性の高さ、変質しにくい特性を生かすための処理です。
機能メッキ製品は、デジタル機器の精密部品や半導体、自動車の電子部品・電気回路に使用されています。

電子部品に金が使われていると聞くと少しびっくりしますが、金は空気中・水中で非常に安定している物質のひとつです。腐食しにくく耐久性が高いため、電子部品として安定的に力を発揮できます。
実は日常的に使われる電子部品、自動車部品には金メッキがほどこされているものが多いのです。

金メッキを見分ける方法

金と金メッキを見分ける方法は、次の3点です。

  1. 刻印で見分ける
  2. 重さの違いで見分ける
  3. 買取業者に判定を依頼する

最近は金メッキの技術が上がり、金か金メッキかの判別がむずかしくなっています。それでも刻印や重量から見分けることもできますので、目安として知っておきましょう。

刻印で見分ける

刻印 意味
GP Gold Plated、メッキ
GF Gold Filled、金張りメッキ
GR Gold Rolled、金張りメッキ
GS Gold Shelled、金張りメッキ
RGP Rolled Gold Plate、金張メッキ
GEP Gold Electro Plated、電気メッキ
HGE HARD GOLD ELECTROPLATED、電気メッキ
WGF White Gold Filled、ホワイトゴールド張りメッキ

金メッキの刻印は「K+数字+アルファベット」の組み合わせが主流です。
Kの後に続く数字が、「メッキに使用された金の純度」をあらわします。最後のアルファベットが「メッキの種類」をしめし、全体で「どの純度の金を使って、どういう種類のメッキをしたか」が分かる仕組みになっています。

金メッキの刻印は複数の種類があります。主な刻印の意味をみていきましょう。

刻印「GP」は電気を使って金をコーティングしたもの

「GP」は「Gold Plated=金メッキ」の略語です。「K18GP」は、K18=純度75%の金を使ったメッキ製品であることをあらわしています。
つまり「K18GP」の刻印があれば、製品の土台になる金属(ベースメタル)の種類にかかわらず、表面にK18の金をコーティングした金メッキ製品です。

コーティングされた金は、非常に薄い膜です。平均的に3~5ミクロンの厚さで1000分の3~5ミリしかありません。
ベースメタルは真鍮や銀、銅が多く、コーティングされる金は微量ですから制作コストは低く抑えられます。金によく似た外見の豪華なジュエリーが、安く大量に作れるのがメリットです。

GPによく似た刻印で「GEP」もあります。「Gold Electro Plated=電気メッキ」の略です。
メッキの作業工程で「電気分解」という加工処理方法がおこなわれていることを意味します。
GPと同じ「金メッキである」という刻印です。

刻印「GF」は、金張りしたもの

「GF」は「GOLD FILLED=金張り」の略語です。「K18GF」と言う刻印は、K18=純度75%の金を張り付けてあることをあらわしています。
ベースメタルにK18の金を重ね、900度前後で加熱・圧延して作られたものです。

GFとGPの違いは、コーティングされた金の厚み。
GFの金は金メッキ=GPよりも80~100倍の厚みがあります。金の量が多いために、より金の色にちかく摩耗にも強いのが特徴です。

たとえば「1/20 14KGF」の刻印は

「1/20 14KGF」の刻印
ベースメタルに圧着した金が、素材の総重量に対して1/20以上ある
圧着した金の純度はK14(純度58.5%)である

という意味です。
またGFの刻印がついている製品は高温で金を圧着しているために、金メッキよりも金がはがれにくい特徴があります。

最近はネックレスやイヤリングなどジュエリーのほか、眼鏡にも「GF」の刻印が見られます。
なかには「1/20 14K」というように、GFがない刻印もあります。

刻印「RGP」は、厚みの薄い金張り

「RGP」は「ROLLED GOLD PLATE」の略語です。
GFとの違いは、金張りされた金の割合にあります。RGPの刻印があるなら、表面の金製品重量に対して5%未満と決まっています。GFは5%以上ですから、RGPのほうが金合金の割合が低いのです。

またベースメタルである銀や真鍮の片面にだけ金張りしたものも、RGPの刻印が打たれています。

RGPはGP=金メッキより金の層が厚く、目安として5ミクロン以上の厚みでコーティングされています。メッキよりも金がはがれにくく、耐久性の高いのがメリットです。

刻印「KT」「KP」はメッキではなく、金製品

メッキと混乱しやすい刻印として

  • KT
  • KP

があります。
実はどちらも、メッキではなく金製品をあらわします。偽物ではなく、本物の金製品なので注意が必要です。

たとえば「18KT」なら、K18=純度75%の金製品のこと。「18KP」も同じ意味です。
KTはKarat=カラットというドイツ語から来た記号で、KPのPは「Plumb」の略。英語で「完全に・正確に」をあらわす言葉で、「純度は、正確に18Kです」と言う意味なのです。

KTもKPも、国産のジュエリーではあまり見かけない刻印です。「KP」は、アメリカの金ジュエリーに多く見られます。18KPも24KPも純度の高い金ですから非常に高価です。
金製品にK以外のアルファベットがついていると金メッキの刻印であるケースが多いため、混同しやすいので注意しましょう。

金と金メッキの重量の差を見る

金製品と金メッキでは重さが違います。重いのは金製品のほうです。
金製品は製品の中心部まですべて金の合金で作られています。K24のリングならリングを切断した場合の中心部までK24=純金です。重量は金の重さと同じですから、非常に高価です。

金メッキの場合は、リング部分は真鍮や銀、銅で作られ、表面にK18やK14の金合金がコーティングされています。
金の密度と銀や銅の密度が異なるため、同じサイズでも金製品とメッキでは重さが違います。

たとえば金、銀、銅の密度を見ると、

金の密度 19.3g/cm3
銀の密度 10.5g/cm3
銅の密度 8.96g/cm3

です。
純金と銀+金メッキでは、重量に約2倍の差があります。
そのため同じサイズのものを重量で比較すると、金メッキのほうが軽くなるのです。

実際には、外見で金と金メッキを見分けることは非常に難しいものです。
メッキ製品の表面には金の層がコーティングされていますから、外見は金製品と同じような光沢、色合いを持っています。しかし重量を比較すれば、金製品とメッキには、明確な違いがあるのです。

買取店に判定を依頼する

金製品か、金メッキか見分けたいなら、貴金属の買取店で判定してもらう方法もあります。
金および金メッキのなかには刻印がないものもありますし、重量では判別しにくい製品もあるからです。

たとえばタングステンという重金属は、金とほぼ同じ密度19.3g/㎠です。
タングステンは電球のフィラメントや電極に使用される重金属。金とは比較にならないほど安価で、多量に出回っています。

もしタングステンをベースにして指輪を作り、金メッキをほどこしたら、重さはほとんど同じです。見分けることは難しいでしょう。
しかし貴金属の買取店にはX線分析計や純金判定器、貴金属テスターなどがありますので、判別できるのです。

貴金属の買取店では、無料査定を実施しているところもあります。
金製品か、金メッキか不明なものは、店頭で判定してもらうといいでしょう。

刻印のないものは、金か金メッキか

所有する金ジュエリーに刻印が見当たらない。こんなときは、金メッキではないか? と思われるでしょう。メッキでは査定金額が低いのも仕方がないか……。
しかし、刻印がない=金メッキだとは断言できないので注意が必要です。

一般的には、金製品には「K+数字」の刻印が打たれています。リングなら内側、ネックレスなら止め金具の部分に刻印があります。
刻印は金かメッキかを見分ける場合、大きな決め手になりますが、メッキがない金製品も存在します。
なぜなら、貴金属に刻印を打つことは義務化されていないからです。

金は貴重な貴金属ですから、一般的には純度が高い金製品にはメーカーやブランドが刻印を打ちます。素材である金の価値を保証するためです。
あるいは造幣局に品位試験を依頼し、「ホールマーク」という「日の丸国旗+ひし形の中の数字」で純度をあらわす刻印を打ってもらいます。

しかし金製品の打刻は任意であって、国によるガイドラインや法律で定められたものではありません。
したがって金の純度が高くても刻印のない品物があり、刻印の有無だけでは金メッキと断定することはできないのです。

古い金製品や海外で購入したジュエリーのなかには、刻印がないものも存在します。その場合は、やはり買取業者で専用の測定器を使い、金か金メッキかを判定してもらうのが安心でしょう。

なお貴金属への刻印は任意ではありますが、意図的に製品の純度と異なる刻印を打つのは犯罪行為です。純度と刻印が異なっているとわかっていて販売するのも、犯罪行為に当たりますので注意しましょう。

金か金メッキか、見分けのつかないものは経験豊富な業者へ

古代から人気のある金。金メッキのジュエリーや金杯、メダルなどがたくさん作られています。金かメッキかを見分けたいときは、次の3つの方法を使ってみましょう。

  1. 刻印を見る。金メッキなら「GP」「GF」と打刻
  2. 重量をチェックする。金メッキは軽いものが多い
  3. 貴金属買取の経験が豊富な買取店で見分けてもらう

金メッキは、金と似た豪華な外見に軽さというメリットを持っています。気軽なジュエリーとして、人気が高いものです。
日常的に使っているリングやネックレス、眼鏡などに刻印があったらチェックしてみましょう。

刻印には、どのようなタイプの金メッキなのか、使われている金の純度はどれくらいか、などの情報が詰まっています。
刻印がない場合は、メッキではなく金製品の可能性もあります。経験豊富な買取業者に相談してみましょう。

刻印が見つからないジュエリー、知らない刻印がついている製品でも、無料で判定してくれるので安心です。