掛け軸の価値を上げるコツ

掛け軸の価値は何で決まるかご存知ですか?
掛け軸の価値を知り、そして高めるコツをお教えします。

まず価値の高い掛け軸の種類をしっておこう

買取額をアップさせるコツは、

  1. 掛け軸の値打ちを知ること
  2. 掛け軸の状態を保つこと

の2つです。
まずは、もともとの価値が高い掛け軸について、傾向と種類をご紹介します。

作家物は高額査定になりやすい掛け軸

作家物とは、

  • 作家のサイン
  • 作家の落款

の両方、またはいずれかの記された、作者の分かる掛け軸のことです。
博物館に所蔵されているような作家の作品、教科書に掲載されているような作家の作品はもちろん非常に価値が高くなります。
サインや落款は、表裏どちらかに記されています。

  • 作成年代によって落款を使い分けている作家
  • 複数の雅号を使い分けている作家
  • 複数の作家が合作として仕上げた作品

などがあり、作品によってはサインや落款が見つけづらいこともあるでしょう。

  • 作家名の分からない掛け軸
  • サインらしきものがあるが判読しがたい掛け軸
  • 落款が読めない掛け軸

は、掛け軸の買取専門店や鑑定士に相談しましょう。

制作年代の古い掛け軸も高価買取

作家物以外に価値があるのは、古い時代の掛け軸です。
掛け軸は、朝鮮半島を経由して中国から日本へ入ってきた文化といわれています。

その歴史は古く、飛鳥時代にまで遡ります。
もともと掛け軸は仏画が中心であり、仏教伝来とともに日本へ伝えられたのです。
日本に伝えられて以降は、

飛鳥時代 仏画
鎌倉時代 禅宗のモチーフ・水墨画・山水画・花鳥画
室町時代 中国絵画に倣った水墨画・貴族文化への流入・茶掛け
江戸時代 肉筆浮世絵・吉祥画・対幅
明治時代 日本画・庶民の床の間への流入

と時代に応じてさまざまな変遷がみられます。
こうした時代に描かれた掛け軸はどれも価値ある素晴らしいものばかりですが、一般的には

「古い時代のものほど価値が高い」

と判断されます。
古い時代の掛け軸であればあるほどよい保存状態で現存しているものが少なく、希少性が高まるのがその理由です。
掛け軸の価値は、

  • 作家物であるか
  • 古い時代の作品であるかどうか

という2つの価値基準を中心として決められていきます。

保存状態が掛け軸の価値を左右する

価値判断の基本要素についてチェックしたところで、次は掛け軸の状態について確かめてみましょう。

カビや汚れ、傷は掛け軸の価値に影響

基本的なことではありますが、古い時代の掛け軸、中古の骨董といっても綺麗なものほど価値は高くなります。

  • 全体的に褪色している
  • ホコリや湿気によりシミや汚れがついている
  • カビが浮いてしまっている
  • 紙が破れている
  • 虫食いなどのキズがある

こうした状態の掛け軸は、作家物や古い時代のものであっても査定額が大きく下がってしまう可能性があります。

とはいえ、価値のあるものは専門のクリーニングを施すことで状態が改善することもあるので、買取依頼の場合はまず問い合わせをしてみるとよいでしょう。

破損しそうな掛け軸は、出張買取を依頼

「今にも破れそうな掛け軸があるけれどどうしたらいいの?」
「古そうな掛け軸があるけれど、骨董の心得がなくてさわれない」

そんな時は、店舗買取ではなく出張買取を選択しましょう。
出張買取は、鑑定士が自宅を訪問してその場で査定をおこなう買取方法です。
問い合わせの際に、

  • 出張可能範囲に自宅が入っているかどうか
  • 出張料や交通費実費はどのような負担になるか

など気になっている点をきいておくとスムーズに買取がすすみます。掛け軸の取り扱いに慣れている鑑定士なら、不用意な移動で掛け軸を破損させるようなことはありません。
よほど高額でない限りは、原則即日現金払いの買取店がほとんど。スピーディに買取が完了するのも魅力です。

掛け軸の価値を上げるためのポイント2点

掛け軸の価値をさらに上げるために気をつけておくポイントは、次の2点です。

表装のやり直しはNG(古い掛け軸の製作年代がわかりにくくなる)

「表装が汚れているけど、新調したら高額査定になるかも!」
「表装が破れていると査定が下がるの?だったら取り替えよう!」

これはNGです。表装も立派な掛け軸の一部。象牙やメノウが用いられていたり、表装自体に価値がある作品も少なくありません。
また、不用意に取り替えると掛け軸の制作年代が分かりづらくなってしまいます。
払えばすぐに落ちるホコリをさっと払うだけで、それ以上は触れない。これが掛け軸を買取に出す時の基本姿勢です。

掛け軸が入っていた箱や袋も一緒に査定

海外にはあまり見られない日本独自の骨董文化に、「箱」があります。
骨董の世界における作品を収める箱には、次のようなものがあります。

  • 共箱(ともばこ)
  • 書付箱(かきつけばこ)
  • 極箱(きわめばこ)
  • 合箱(あわせばこ)

共箱は、箱のいずれかの場所に作家自身が

  • 作品名
  • 作家名

を記した箱をいいます。この箱がないと、掛け軸の価値は半値もしくはそれ以下になることもあります。
書付箱は、作家が記す共箱と一緒にあつらえられる箱で、

  • 大名
  • 高僧
  • 茶道の家元

といった権威ある人物が作品の品名について書いたものをさします。
極箱は、共箱と同等の権威をもつ箱で、

  • 作家の親族や後継者
  • 鑑定者

などが作家本人の作品だと認定した旨を記した箱のことです。
合箱は、厳密にいうと掛け軸に付随するものではないかもしれません。
作品に由来する本来の箱ではなく、作品を入れるのにちょうどよい別の箱のことをさすからです。
しかし、合箱は掛け軸に合わせて後からあつらえた場合、箱に価値が出ることもあります。

  • 一見して合っていないような箱
  • 褪色したり汚れていたりする袋

なども、掛け軸の大切な付属品です。
不用意に処分せず、買取の際につけておくと査定額アップにつながるかもしれません。
掛け軸をおさめている箱や袋は、買取に出す際も一緒につけて出しましょう。