
遺品整理などで絵画を売りたいけれど、絵画買取店の選び方が分からずお困りではありませんか?
絵画の価格は、ブランド品のように相場があるわけでもなく、買取価格を提示されてもそれが高いのか安いのか分からず、売るべきかどうか悩む人も少なくありません。
ここでは絵画買取店の選び方のポイントと注意点について解説します。また、絵画を高く売るためのコツも紹介もしますので、絵画を売る予定の方は、ぜひ参考にしてください。
絵画の買取は専門の業者に依頼しましょう


フリマアプリやネットオークションでも、絵画を売ることはできますが、個人で絵画を売却するのは、実は多くのデメリットがあるのです。
- 絵画の価値を知らずに安売りしてしまう
- 劣化していることを分からないまま売ってトラブルになる
- 梱包に失敗して破損状態で相手に送り届けられてしまう
特に気をつけたいのは、絵画の価値を分からないまま売り払ってしまうこと、作品の真贋を確かめずに売却して重大なトラブルに発展することです。
絵画の場合は、西洋画、日本画、時代別に豊富な知識が必要になりますので、専門業者に依頼するのが安全でしょう。
信頼できる絵画買取り業者を選ぶポイントは?


絵画を売却したいと思い立つと、ネットやチラシで数多くの買取業者の情報が目につくことでしょう。
数多の業者の中には、詐欺のような押し買いをしたり、粗利を法外に大きく確保しようとしたりする悪徳な業者もいます。
そんな業者と出会わないために、信頼できる絵画買取業者を選ぶポイントをまとめました。
- 査定経験豊富な鑑定士が在籍
- 長年の運営実績
- 買取実績豊富
- 口コミ評価が高い
- LINEなどオンライン査定に対応
- 出張買取に対応
経験豊富な鑑定士が在籍している
絵画の価値は、専門家でなければなかなか分かりません。査定ができる人材がいない店舗に持ち込むと、高価な絵画でも価値が分からず安く買い取られてしまうことになります。
描かれた手法や画家の知識だけでなく、浮世絵や水墨画に代表される日本画の知識、西洋画においては宗教画などの知識も必要になります。
これらの知識を兼ね備えた鑑定士の力なしに、正確な査定はほぼ無理だといってもよいでしょう。
少しでも高く売るためには、絵画の価値が分かる専門家のいる買取業者を選ぶことが重要です。絵画の査定には、深い知識と経験が必要です。店舗の大きさや規模は関係なく、自分が査定してもらう店舗にプロの絵画査定専門家がいるかどうかを調べて、絵画買取を依頼する候補業者にするかどうかを決めましょう。
店舗の運営年数
「よさそうな買取業者を見つけたんだけど、口コミがほとんど見当たらないし、公式サイトもないんだよね……」。
このような状況は、決して少なくないと思われます。
しかし、優秀な買取業者を見極めるポイントは、ネット上の情報だけではありません。
最後は、店舗の運営年数から買取業者を評価する方法を見ていきましょう。
店舗の運営年数が長い業者は、良心的な可能性が高い
絵画を扱う仕事というのは、想像以上に難しいものです。開業したはいいものの、あっという間に閉業に追い込まれてしまう業者も少なくありません。
長年経営している業者は、それだけ優秀で信頼性が高いといえるでしょう。お店が長続きする理由はいくつもありますが、多くの優秀な業者に共通しているのは、とにかく良心的であることです。
良心的な業者は、一見さんのお客でも礼儀正しく接します。
たとえ価値の低い絵画であろうと、乱暴に扱うことはありません。
どんなものでも1つ1つ丁寧に査定を行い、その価格がついた理由をしっかりと説明してくれます。
ものによっては、価格の交渉に応じてくれることもあるでしょう。
それでいて、不当に安く買い叩くこともありません。
つまり、鑑定士以前に人間として正しい姿勢でいるからこそ、多くのお客さんの信頼を集められるのです。
その信頼が、長年の経営へとつながっています。買取業者を選ぶ時は、運営年数を調べてみるといいでしょう。
鑑定力・目利き力があるから、長年の高評価
長年経営を続けているお店は、良心的なだけではありません。
買取査定に必要な鑑定力・目利き力も当然備えています。
どれだけ人柄がよかろうと、まともな鑑定力を持っていない業者は仕事をすることができませんからね。
鑑定士本来の仕事をしっかりこなしているからこそ、長年高評価を得られているのです。
一方、十分な鑑定力を持っていないにも関わらず、人の良さや口の上手さだけで経営を続けている業者も少なからず存在します。
このような業者は、絵画を持ち込んだ人をいい気分にさせてくれるかもしれません。
しかし、「正確な鑑定」という最も重要な部分をないがしろにしているわけですから、優れた業者とはいえないのです。
そのため、絵画の買取を依頼する際は、実力も人柄も優れた業者を探すのがベストだといえます。あらゆる情報を集め、総合的に評価を下してください。
買取実績が豊富
どんな分野や業界でも実績は重要です。絵画買取業者の業界も同様で、実績の少ない業者よりは絵画の買取実績が豊富な業者の方がより信頼できるといえるでしょう。
- ウェブサイトに実績の詳細を掲載している
- ブログなどで実際に買取している様子が分かる
といった業者は、買取実績が可視化されているため、信頼しやすいといえます。
口コミ評価の高い業者を選ぶ
ネット上のクチコミは、買取業者を利用した人たちの率直な感想であり、生の情報です。
「とても高く売れました!」というプラスの情報もあれば、「明らかに相場より安く買われた」というマイナスの情報もあるでしょう。
いずれも依頼先の決定に影響する、重要な情報です。
また、「店主がとてもいい人でした」「品物を乱暴に扱われた」「非常にきれいなお店で好感が持てる」といった、価格以外の情報もあるかもしれません。
大切な品物を売る以上は、最終的に自分が満足できることが重要ですから、こういった情報も無視できないのです。何気ない感想にも目を向けてみるべきでしょう。
オンライン査定やLINE査定
オンライン査定では、写真を撮って画像データを送るだけで、概算で見積もりを出してもらえます。
LINEを使い慣れている方は、LINE査定だとすごく便利で、営業時間内ならリアルタイムにやり取りも可能です。
画家のサインや落款、額裏の共シールなど作者を特定できる情報は、できる限り鑑定士に伝えましょう。
購入した場所や業者名、購入時の状況、購入価格なども重要です。
無料出張
大きい絵画の場合は、無料で出張査定に対応してもらえる業者を選びましょう。絵画の見積もりをするためだけに、自分で店頭に持ち込んだり宅配したりすると、絵画にダメージを与える可能性があります。絵画は非常にデリケートですので、現場に来てもらって見積もりを出してもらうと、絵画を傷つける心配もなく確実です。
まとめ:複数の業者に相見積もりを頼むこと
絵画を高く売る最後のポイントは、複数の業者に相見積もりを頼むことです。絵画の買取価格は時価ですので、見積もりをする業者によって少しずつ査定結果が異なります。手元にある現物の絵画がどれほどの値打ちなのかを知る相場は、自分で複数の業者に見積もり依頼をしてデータを集めるしかありません。
業者に相見積もりを依頼することで、この絵画買取店に買取を依頼したいと思ったときに、「他の業者だとこれぐらいの価格を提示してもらえた」と交渉することもできます。何の根拠もなく価格交渉しても、素人では限界がありますが、相見積もりを取ることによって、交渉の余地が生まれるのです。
絵画の買取価格を決めるポイントは?


絵画をはじめとする美術品の値段を決めることは、とても難しいと言われています。絵画のオークションの落札価格などがニュースで大きく取り上げられることはよくありますが、
「価値があるのはわかるけど、なぜそんなに高値がつくの?」
と感じたことはありませんか?
絵画に詳しくなくても、誰もが一度は耳にしたことがあるゴッホ、ムンク、ゴーギャンといった超有名画家の絵画は、とんでもない高値で取引されます。しかし、絵画の価格というのは、はっきりとは決まっていません。買取価格を決めるのが難しい理由のひとつに、規則性がないとことが挙げられます。
画家の知名度
絵画は「誰の作品」であるかが値段を大きく左右します。
教科書に載っているような画家や、美術に詳しくない人でも名前を挙げられるような作家の作品は、小さな作品であっても高額で売買されます。
海外の著名な作家の例を挙げるなら、パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホル、ゴッホなど。
国内であれば、平山郁夫、東山魁夷など日本人から親しまれている画家や、棟方志功や藤田嗣治といった世界的に知られた作家の作品が高額で買取されます。
需要と供給
絵画に限らず美術品やアンティークの取引相場は、一言でいえば「需要」と「供給」のバランスによって決まります。
絵画は、版画や印刷技術を利用した作品でない限り、有名な画家の作品もまだ無名の新人作家が描いた作品も、世界にたった1つしかありません。
その1つの作品を求める人がどれだけいて、さらにどれだけお金を出すのか。その需要の高まりが作品の金銭的な価値を決めます。
希少価値
絵画の価値を決めるもう一つの要素は、希少性です。
希少性が高ければ高いほど、買取価格も高額になる可能性があります。
需要に対して供給が少ないアイテムは、絵画に限らず価格が高騰する傾向にあります。
市場にあまり出回らない絵画には次のようなものが想定されます。
- 作家の無名時代に創作され、散逸してしまった作品
- 早逝した作家の作品
- 作家個人が亡くなるまで自分で所持していた作品
- 作家が親しい人や知人にのみ贈った作品
- 限定制作された作品
- 画家の死後発見された、盗難で長らく所在不明だったなど来歴にドラマがある
作家個人が所蔵していた作品や、親しい人に向けて贈られた作品は、その人たちが亡くなったり手放したりすることで初めて存在が明かされることも珍しくありません。
無名時代につくられた作品や、早逝した作家の手による作品も、広く世間に紹介されたり専門家による研究がなされたりすることで、一気に価格が高騰することもあります。
絵画鑑定の主なチェックポイント


署名・刻印から見極める
絵画鑑定においてまず大切なのは2つ
- 署名(サイン)
- 刻印(落款)
署名は、作家によって
- 文字の書き癖
- 文字のデザイン
- 右下がり、右上がりなど署名全体の流れ
がそれぞれ異なります。偽物の作品は、たとえ絵画自体をそっくりに真似しても署名は模倣しきれないことが多いため、贋作を見破るひとつのポイントになります。
刻印は、掛け軸などの作品においては落款とも呼ばれます。
落款は作品に押す本人証明の印鑑のような役割を果たしており、基本的には作家本人しか所持していません。これも、どれだけ精巧な偽物を作ったとしても、
- 刻印や落款のデザイン性
- 刻印を押した時の欠け
- 押した時のかすれ具合
などに違いがみられます。そのため、プロは署名と刻印を互いに照らし合わせ本物と偽物を鑑定します。
署名・刻印から制作時期を推察して鑑定
署名や刻印は、すべての作家が一生涯同じものを使い続けるわけではありません。
- 一生涯、同じ署名と刻印を使い続ける作家
- 制作時期によって署名と刻印を使い分ける作家
- 署名は同じだが、時代によって刻印が異なる作家
- 刻印は同じだが、時代によって署名が変化している作家
のように、いくつかの組み合わせが考えられます。
そのため、贋作と見破られる絵画の中には、
- 変化し続ける署名と刻印の組み合わせが不自然な作品
- 刻印は似ているが、署名が従来の絵画には見られないようなかたちの作品
- 署名は似ているが、刻印が従来の絵画には見られないようなかたちの作品
などがあります。これらは、プロである鑑定士の豊富な知識によって暴かれます。
署名・刻印の違いを正確に判断できるかがポイント
絵画や掛け軸といった美術品は、保管の仕方によって状態が大きく異なります。
油彩絵の具がひび割れているような古い作品でも、価値が高くなる絵画はあります。反対に、どんな状態のよい作品であっても必ず価値が出るとは限りません。
絵画の価値を決めるのは、その作品を誰があらわしたか、つまり、
- 作家
- 作家の知名度
が大きなパーセンテージを占めています。そのため、
作品が当該作家の手によるものである
という証明が何より大切。署名や刻印の違いを見極める重要性は、「作家の特定」という意味において重要なのです。
来歴・由来を見る
鑑定士が本物と贋作を見極めるポイントには、
作品の来歴
もあります。絵画はある日どこからか沸いて出るわけではありません。
- 作家(創作活動)
- 絵画を売買する人の存在
- 絵画を保管する人の存在
これら3つの存在が揃うことで初めて、絵画は世に出て長く愛されるようになります。
絵画が古いもの、価値のあるものであればあるほど、
- 絵画を売買する人の存在
- 絵画を保管する人の存在
は増えます。
この存在の数は、来歴・由来の厚さにつながります。価値ある絵画は人から人の手に渡り、売買が繰り返されて現代にあります。
絵画が販売された歴史から、鑑定
本物であれば、代々の所有者をある程度正確にたどることができますが、贋作はそうではありません。
- ある日、突然世に出た絵画
- 蔵に眠っていた幻の作品
- 失われたと思っていたら突然あらわれた絵画
こうした謳い文句は真実の場合もありますが、偽物を売りたい誰かが騙っているケースもあります。偽物には来歴・由来がないため、捏造がおこなわれることも。それを見破るため、鑑定士は絵画の来歴・由来をチェックするのです。
来歴をたどって、作家にたどり着けるかがポイント
プロの鑑定士は、たとえ作家不明の作品でも来歴から特定することが可能です。
- どこの画廊で取引されたか
- 購入者の前の持ち主は誰か
といったことを辿っていくうちに、元の持ち主、例えば
- 作家の近しい友人
- 作家のパトロン
- 作家の家族
などに行き着くことがあるからです。
制作時期と技術を見る
作家不明の作品の特定には来歴が大きなヒントをくれますが、
- 作品の制作時期
- 作風(技術)
も鑑定のポイントになります。贋作にはこの両者にズレや不審な点が見受けられるからです。
技術は技量といってもいいかもしれません。作家が生涯をかけて追求し会得していった作風と技術の独自性は簡単に真似できないものです。そこが鑑定のポイントになります。
作品上の技術と制作時期をあわせて、鑑定
偽物はどれだけ精巧に作られていても、制作時期と技巧的な性質のつじつまが合わないことがよくあります。
- 時期から想定すると稚拙なはずなのに、異様に描き込まれている
- 枯れた味わいが出てきた作品を描いているはずの時代に、精力的な作風である
などのような場合は、偽物とみられることもあります。
鑑定では、作家の人生や時代背景を多角的に考察して、総合的な判断を下していきます。
主に使われている技術と制作時期が合致するかがポイント
著名な絵画を模倣しようとした場合、作品に用いられている技術と制作時期を合わせるのは至難の技です。また、技術と同様に材料も問題です。
- 作家の刻印(落款)の入手あるいは偽造
- 作家が当時用いていた材料や道具の入手
- 作家が達していたレベルの技量
- 制作時期の作家の心身の状態の模倣
これらをすべて網羅するのは困難で、いずれかの部分にほころびが出ます。
プロの鑑定士は、そのほころびを見逃さずに鑑定をおこなっているのです。
絵画の鑑定と査定


絵画の鑑定と査定の違いについて
鑑定とは
絵画鑑定とは、その絵画の真贋を見極めることです。
真作であると結論づけるためには、
- サイン
- 落款
- 描かれた画材
- 紙質
- 絵そのものの筆致
などを詳細に調べて判定する必要があります。
著名な作家であればあるほど、巧妙な贋作も数多く存在するため、専門の鑑定士や鑑定機関をもうけていることもあります。また、こうした機関への仲介をおこなっている業者もいます。
【専門鑑定機関の一例】
ピカソの作品鑑定 | パブロ・ピカソ・オートンフィケーション |
---|---|
ルオー | ジョルジュ・ルオー財団 |
荻洲高徳 | レザミ・ド・オギス |
熊谷守一 | 東京美術倶楽部鑑定委員会 |
佐伯祐三 | 東京美術倶楽部鑑定委員会 |
査定とは
絵画の査定は、買取価格を提示することをいいます。
これは、真贋のチェックや美術的な評価を包括的におこなった上で提示されるものです。
つまり絵画買取は、
作品の鑑定→作品の査定→買取価格提示
という3つのステップによって成り立っているといえます。
真贋などを判定する鑑定とは違い、査定は買取時期の業界の傾向や、業者によって価格が変わってくることがあります。
とはいえ、中古買取業者の間では「鑑定」と「査定」を一連の作業として認識することも多く、あえて言葉を使い分けていないケースも見受けられます。
鑑定に鑑定料は必要?
作品についての正式な鑑定には、鑑定料がかかります。
鑑定料は業者によって違う
鑑定料は、業者によって違いがあります。
相場としては、
絵画1点につき、3万~6万円
が一般的とされています。
業者の元に持ち込む際には不要ですが、自宅やオフィスに呼んで鑑定を依頼する時には、
- 交通費
- 出張料
などが別途かかることもあります。
鑑定依頼は、事前に問い合わせをして見積もりをとっておくといいでしょう。
鑑定書発行に料金が発生することもある
正式な鑑定では、法的な効力を発揮する「鑑定書」が発行されます。
- 鑑定書発行を料金に含めている
- 鑑定料金は鑑定のみで、鑑定書発行は別料金を設定している
見積もりを業者に依頼する際は、料金がどちらのタイプなのかをよく調べておきましょう。
ちなみに、鑑定書発行料金は、1万~3万円が相場といわれています。
鑑定書込みの料金の場合は、一括でお得感がありますが、鑑定書が別料金の場合は、
- 真作のみ鑑定書発行を依頼する
- 贋作の場合、鑑定のみで依頼を終了できる
というメリットがあります。
鑑定書込みか、別料金の業者か、依頼内容に合った方を選択するのがよいでしょう。