【人形の種類】西洋・日本の様々な人形、タイプ別10種類の解説

「人形」は古くからあるおもちゃであり、かつては祭礼用にも使用されていたものです。
日本には多数の種類の人形があり「市松人形」「雛人形」などがあり、現在でも新しい人形が次々と生み出されています。

そんな「人形」の独特な魅力を知りたいと思っても、あまりにも多様すぎる世界のためにどこから手を付けていいのかわからない!という人は多いでしょう。

ここでは日本の人形・西洋人形を、タイプ別10種類にわけて以下のようにご紹介します。

  • 人形の役割
  • 日本人形の7種類
  • 西洋人形の3種類

日本でも海外でも、人形は単なる子どもの玩具ではありません。ときにひとの気持ちに寄り添い、支えてくれるものですし、時には貴重なコレクションの対象となり、高額で売買される古美術品でもあります。
人形の知識を深めて、奥深い世界に入ってみませんか?

人形の役割

玩具としても、祭礼用の品としても歴史の長い「人形」。世界中には多種多様な人形があり、それぞれに役割をもって送り出されています。ここではそんな人形を「役割別」に3種類に分けて説明しましょう。

  • 観賞用人形
  • 祭礼用人形
  • 玩具用人形

それぞれの役割は重複しているところもありますし、複雑につながっている部分もあります。
人形は人間の形を模しているために、ただのおもちゃではないところが、魅力なのです。

鑑賞用人形


「鑑賞用人形」とは、インテリアやコレクションとして大切に飾られるための人形です。
日本人形で言えば「木目込人形」や「博多人形」などは、飾っておくために作られた「鑑賞用人形」。ギフトとして贈られることも多く、伝統工芸として高い技術を駆使して作られたものが多く、造形や衣装などに見どころがあります。

広い意味で言えば「ひな人形」や「武者人形」など、節句にかざる「節句人形(せっくにんぎょう)」も、玩具ではなく観賞用の人形です。
また、海外の人形で言えばつややかな磁器の肌が印象的な「ビスクドール」も観賞用。こういった人形は手に触れることもできますが、ガラスケースなどに収納して飾っておくのが基本です。

そういう意味合いでは、熱心なコレクターやファンがいる「フィギュア」なども、おもちゃでありながら一種の観賞用人形といえます。
華やかで愛らしく、美しいインテリアの一部となるのが「鑑賞用人形」なのです。

祭礼用人形


「祭礼用人形」とは、節句の行事や祭礼時に使われる人形です。
人形はもともと「ひとがた」ともいい、人間の身代わりとなって災厄をはらうために使われていました。
「流しびな」などは「祭礼用人形」の一種で、鑑賞用人形である「飾りびな」とは役割がちがい、災厄を川に流すための人形です。

そもそも「流しびな」こそが、現在のひな人形の原型だと言われています。
また、日本各地の祭りで出される「山車(だし)」の上に乗っている「からくり人形」も祭礼用人形の一つ。「山車人形(だしにんぎょう)」ともいい、巨大なものから可愛らしい人形までさまざまな種類のからくり人形が山車の上に置かれて、太鼓をたたいたり、宙返りをしたりと複雑な動きを見せています。

本来、山車人形の役割は山車に神様が乗り移るための「依代(よりしろ)」だったと考えられていますが、のちには祭りにやってきたひとのための鑑賞用人形の役割も持つようになりました。

玩具用人形


「玩具用人形」とは、手に取って遊ぶための人形です。
現在の人形の多くは玩具用人形で、主に子どもが遊ぶために作られたおもちゃ。素材はソフトビニールや布製、木製のものまで非常に多様です。

小さな子供がままごと遊びのために使う人形から、少女が着せ替えや人形遊びのために使うものまで、サイズも顔つきもまったく違います。
たとえば、着せ替え人形として有名な日本の「リカちゃん人形」やアメリカの「バービー人形」などには熱心なマニアや大人のコレクターがおり、本来は子供用ドールでありながら「鑑賞用」「コレクション用」の目的を持つものに変わってきました。

このようにさまざまな目的から作り出された人形は、多くの種類に分かれていきました。人形ごとに特色がありますので、次は種類別に詳しく見ていきましょう。

日本人形の7種類

「日本人形」とは、日本の伝統的な人形のことです。一般的に着物を着ていて、髪も日本髪に結っているものが多く、結髪や衣装の素材・着付け方に繊細な美意識が感じられるのが大きな特徴。

製法にも伝統工芸の技法が用いられており、おもちゃであるというよりは工芸品としての評価も高いものです。
ここでは、次の7種類の日本人形について説明をしていきましょう。

  • 市松人形
  • 御所人形
  • 木目込人形
  • ひな人形
  • 武者人形
  • 奈良人形
  • 博多人形

日本人形は、豪華絢爛な衣装や繊細な表情、臨場感のあるポーズなど、いかにも「日本!」というイメージを体現しており、海外でもギフトアイテムとして人気が高いものです。

市松人形


「市松人形(いちまつにんぎょう)」は、これぞ日本人形という基本の人形です。
「市松」という名前の由来は、江戸時代に爆発的な人気を博した歌舞伎役者「佐野川市松(さのかわいちまつ)」の舞台姿をモデルにしたという説や、佐野川の舞台衣装の柄「市松模様」の着物を人形に着せたからという説などがあり、定説はありません。

一般的に幼女・童子のすがたをした人形で、さまざまなタイプの着物を着ているのが特徴。衣装の種類が多いのは、市松人形がもともと子供用の着せ替え人形であったからだとも言われ、江戸時代の少女は自分の市松人形の衣装の縫い上げることで裁縫のけいこにしたという経緯があるそうです。

市松人形は女の子の人形がよく知られていますが、実は男の子の市松人形も数多くあり、やさしい表情が人気の理由。
本来の市松人形は人形の身体を柔らかく動かすことができ、着物も着せ替えができる形でしたが、最近では観賞用人形として「動かない・着せ替えしない」タイプの市松人形もあります。
市松人形について詳しく見る

御所人形


「御所人形(ごしょにんぎょう)」は、童子・赤ちゃんの形をした人形です。

江戸時代半ばごろに現在の形となった人形で、もとは宮中、御所のお祝いごとのときに飾られていたもの。御所に参内した公家や大名家などに下賜されていたことから、明治時代以降は「御所人形」と呼ばれるようになりました。

御所人形の特徴は、「三等身」であることです。別名を「三つ割人形(みつわりにんぎょう)」ともいうのは、頭の大きな三等身から来ています。

頭が大きく、目鼻立ちはちんまりと愛らしい、体は肉付きが良く、全体的に赤ちゃんのようなふっくりした外見が特徴。
人形本体は木彫りや、「桐塑(とうそ)」という桐の粉末に正麩糊(しょうふのり)をまぜた粘土で作ります。

その上へ真っ白な胡粉(ごふん)という貝殻素材の白い顔料を塗り重ね、磨き上げるために、なめらかな艶のある肌です。
凛とした顔つきのものや、あどけない顔の人形など、愛らしい表情とポーズの多彩さが楽しめる人形です。

木目込人形


「木目込人形(きめこみにんぎょう)」は、木彫りの胴体に着物を着せつけた人形です。
木もしくは「桐塑(とうそ)」で作った人形の胴体に、切り込みを入れてみぞを作り、衣装の生地の端を埋め込んで作ることから、「木目込」と呼ばれます。

人形全体に力強さや存在感があり、さまざまな胴体の造形にあわせて華麗な生地の衣装を着せることができるために、高級感のあるのが特徴。
「頭(かしら)」と呼ばれる顔部分は胴体とは別に作り、顔料である「胡粉(ごふん)」を塗り重ねて温かみのあるつやを出してから表情をつけます。最後に、木製の胴体に頭を差し込んで完成です。

木目込人形は単体で飾られることもありますし、あとでご紹介する「ひな人形」としてセットで作られて飾ることもあります。
ギフトとしてお祝いごとのときに贈られることが多い人形です。

ひな人形


「ひな人形」は、女の子の成長を願って飾る人形です。平安時代の宮中を模した人形が並び、通常は「男雛・女雛」が一対になっており、そこへ「三人官女(さんにんかんじょ)」「五人囃子(ごにんばやし)」などがつきます。

ひな祭りの起源は古く、一説によると、奈良時代ごろからケガレを人形に託して川や海に流す儀式が行われていたそうです。現在のように、屋内にひな人形をかざる風習は江戸時代以降に始まり、江戸幕府が揉桃の節句を「五節句」の一つに決めたことから、広く行き渡るようになりました。

江戸時代前期には等身大の人形や紙製のものもありましたが、やがて小型の「享保雛(きょうほうひな)」が登場し、現在のひな人形に続いています。

今ではさまざまな種類のひな人形が登場し、赤ちゃんのようなあどけない顔のひな人形や、パステルカラーの衣装をつけた人形、日本の住宅事情の変化に対応して、和室がなくても飾りやすい「収納飾り」など、実にバリエーションが豊富です。

武者人形


「武者人形(むしゃにんぎょう)」は、武士の姿を模した人形です。おもに「端午の節句(たんごのせっく)」に飾る人形で、ひな人形と並んで「節句人形(せっくにんぎょう)」の一つとされます。

端午の節句も、江戸時代に決められた「五節句」のひとつ。起源は奈良時代の「五日の節会(いつかのせちえ)」だと言われ、魔を払う「菖蒲(しょうぶ)」を身に着けたことが始まりです。「菖蒲」と「尚武(しょうぶ)」の音が同じことから、男児のための節句になりました。

江戸時代には、7歳までの男児がいる家では屋内に魔よけの「鍾馗(しょうき)」の姿を描いた幟(のぼり)をたて「冑人形(かぶとにんぎょう)」を飾っていました。
現在でも男児がたくましく育つようにという願いから、武者人形は堂々としたポーズを取り、美々しい甲冑姿であらわされます。

奈良人形


「奈良人形(ならにんぎょう)」は、小型の木彫り人形です。刃物のあとの荒々しさを残した「一刀彫(いっとうぼり)」技法を用いて、木彫りの素朴で力強い味わいを残しているのが大きな特徴。

材料は湯にひたして油を抜いたヒノキで、人形には色あざやかな彩色がほどこしてある華やかなものです。人形の顔には白い顔料「胡粉(ごふん)」を塗って仕上げたものが多く、同時に華やかな衣装も彩色表現します。

奈良人形の歴史は古く、江戸時代初期に奈良の春日神社の祭具であった「高砂の翁姥(たかさごのおきなおうな)」や想像上の動物「猩々(しようじよう)」などの人形を作ったのが始まり。のちに能楽の場面をかたどったものや、立雛(たちびな)、奈良ゆかりの鹿などがモチーフになり、種類も増えました。

サイズは5センチほどが一般的で、3センチほどの可愛らしいものもあり、小さいながらも絶大な存在感のある人形。飾り人形として置かれ、根付としても珍重されてきました。
現在では、毎年の干支の置物も作られて、非常に人気があります。

博多人形


「博多人形(はかたにんぎょう)」は、素焼きの陶器人形です。
かつては「博多素焼人形(はかたすやきにんぎょう)」ともいい、つややかな陶器の肌に彩色がされる美しい人形。外国人からの人気が非常に高いものです。

題材はどれも日本人形らしく、「美人もの」「歌舞伎もの」「能もの」「風俗もの」「道釈もの(道教や仏教、歴史上の人物像)」「童もの」にわかれ、それぞれのジャンルで独自の様式美を構築しています。

衣装などはすべて陶器の上に美しい色彩で描かれ、柔らかな色使いや衣装の細かい柄も博多人形の魅力です。
また、人形の表情の多様さでは日本人形の中でもトップクラスといわれ、ほんのりとはかない表情や、生き生きとした子供の顔つきなど、見ているだけで心が動くものがあります。

とても陶器製とは思えない、引き込まれるような存在感がある人形です。

西洋人形の3種類

「西洋人形」とは、西洋で作られた人形全般をさします。
もともと衣装を見せるためのファッションドールとしての役割を持っていた人形が多いため、華麗な衣装や帽子、靴を着用していることがほとんどです。
ここでは西洋人形のうち、以下の3種類をご紹介しましょう。

  • ビスクドール(アンティーク)
  • リプロダクションドール
  • 蝋人形

西洋人形の多くはつやのある肌や、もの言いたげな大きな目など独特の愛らしさを持っています。蝋人形を含めて、ディテールにこだわった精緻さ、リアルさを追求している点が大きな特徴。

またアンティークのビスクドールには世界中に熱心なコレクターがおり、玩具というよりアンティークアイテムとして有名です。「名品」といわれる人形は、日本でもおどろくような高額で売買されています。

ビスクドール(アンティーク)

ジュモーのビスクドール
「ビスクドール」とは、おもにフランスやドイツで19世紀後半に作られた少女人形です。西洋人形には多数の種類がありますが、ビスクドールはとくに精巧な作りで高く評価されています。

ビスクドールを含むフランスの人形は歴史が古く、もとは15世紀のイタリアで作られてからフランスで普及し、貴族女性用の衣服を宣伝するために使われました。当時から非常に手の込んだ人形が作られ、はじめは子供用のおもちゃではなく、上流階級の大人の女性のための人形でした。

ちなみに「ビスクドール」の名前は、フランス語で「二度焼き」を意味する「ビスキュイ」から来ています。陶器でできた人形の顔を「二度焼き」したことに由来します。
1920年代には、子どもの玩具人形として普及し、さまざまな種類の人形が作られました。

このビスクドールは、おさない少女の姿をしているのが一般的です。じつはこれには、日本の「市松人形」の影響があると言われています。
1850年代にヨーロッパ各地で開催された万国博覧会には、日本から「市松人形」が出品されていました。
その人形の可愛らしさに触発され、それまでの大人の姿をしたドールから子供の姿の人形が作られ始めたという説もあるのです。

現在のビスクドールは、作られてから100年以上が経過している「アンティークドール」「アンティークビスク」と、新作や復刻版で作られた「リプロダクションドール」「創作ビスクドール」の2種類に分かれます。

明確な定義はありませんが、ビスクドールマニア及びコレクターのあいだでは使い分けがされており、どちらも熱心なファンやコレクターによる売買が盛んです。

ビスクドールについて詳しく見る

リプロダクションドール


「リプロダクションドール」とは、アンティークビスクドールと同じ様式で、新たに作られた人形のことです。

一般的に「アンティークドール」と呼ばれるものは、1800年代後期から1900年初期にフランスおよびドイツで作られたものを言います。
しかし状態のいいアンティークドールは数が少なく、まして「名品」と呼ばれるような人形は一般市場にはほとんど出てきません。コレクターが手放さないからです。

そのため、あたらしく同じようなグレードでつくった人形が必要とされて、「リプロダクションドール」が誕生しました。
リプロダクションドールの特徴は、オリジナルの顔型(モールド)を使い、同じような作業工程で作られること。

制作手順はオリジナルドールと同じで、磨き、窯焼き、顔描き、衣装作りなど工程は複雑で手間がかかります。
また同じ顔型をつかっても作家によってまったく違う人形になりますし、同じ作家のものでも表情が異なるため、個体差の大きな人形です。

オリジナルのアンティークドールほどではありませんが、有名作家のリプロダクションドールも非常に高額。アンティークドールとおなじく、人気の高い人形です。

蝋人形


「蝋人形(ろうにんぎょう)」は、蝋を素材にして作った人形です。
古くはイタリアで宗教的な目的で作られた人形で、14世紀ごろまでのヨーロッパには、死者にちなんだ蝋人形を作って教会に並べる風習がありました。

いっぽうで、歴史上の人物の蝋人形も多数つくられてきました。歴史上の有名人の場合は、人物像をありのままに伝えることが目的で「生きているようなリアルさを持つ人形」を作ることが重要でした。

やがてヨーロッパでは、写実的な彫塑と独特の技法で着色をほどこした蝋を使い、動きのある瞬間を切り取った蝋人形が作られていきます。とくに高級な蝋人形は本物の毛髪を使い、眉毛も一本ずつ植えこむなど手間をかけて、よりリアルさが追求されていったのです。

現在、蝋人形で有名といえば「マダム・タッソー」。
フランスに生まれた「蝋人形彫刻家」であるマリー・タッソーは、フランス革命で処刑された王族の頭部を蝋細工で制作。のちにロンドンのベイカーストリートに「マダム・タッソー・ワックスミュージアム」を開設しました(現在はロンドンのマリルボーン・ロードにあります)。

いまや世界各地にあるこの蝋人形館は、どこも人気の観光名所となっています。ハリウッドスターや歴史上の人物、スポーツ選手のそっくり人形が展示され、ヨーロッパの蝋人形の歴史を今に伝えるエンターテイメント性あふれるスポットです。

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