◆宝石用語について解説しています。
【あ行 – 宝石用語】
アステリズム
光を当てると星が浮かび上がってみえる宝石の効果。これらは120度と60度に交差する3方向に配列されたルチルのシルクと呼ばれる針状の結晶が光の反射を起こすことで乗じる現象。これらの条件が整う宝石をカボション・カットすることでスター効果が生まれ、これをアルテリズムと言う。ルビー、サファイアは6条、ガーネットでは4条の光が生み出される。
アコヤ貝
真珠を養殖する際に使われるウグイスガイ科に属する母貝。10センチ程度の大きさで、養殖期間は約半年から二年半ほど。
色石
一般的にサファイア、ルビー、エメラルドといった有色の宝石に用いられる用語
イミテーション
宝石を模倣した石の総称。ガラスやプラスチックをはじめ、ダブレットやフォイルバッグもイミテーションとなる。
イミテーション・パール
ガラス玉やプラスチック玉に真珠のエッセンスを付着させた模造品。
インクルージョン
宝石の中に含まれている気泡や液体、小さな結晶といった内包物の総称。
オイル処理
エメラルドの場合、石の内部に亀裂が多いため、セダ―ウッド・オイルというエメラルドと屈折率が近似したオイルを使用して透明度を上げる処理を行う。美しさに対して値段が安すぎるものがオイルの含浸が激しい可能性が高く、月日が経つことで内側の傷が目立ってしてしまうというケースもある。
【か行 – 宝石用語】
核
真珠を養殖する際に用いるもの。アメリカミシシッピー産などで採れるドブ貝などの殻を球状にして、核として貝に挿入することで、真珠層が形成され真珠として養殖される。
核入れ
真珠を養殖する貝に核を挿入する作業。盛夏を除く4月~10月に行われる。
カシミール・サファイア
インドのカシミール地方で採掘されたサファイアは、すみれ色をしたブルーカラーをしていて、最高級の品質とされている。
カラット/carat
宝石の重さを示す単位。0.2グラム=1カラットで、ctと表記される。
カット
ダイヤモンドのラウンド・ブリリアント・カットに対してのグレーディングに関すること。および研磨された宝石の一般的な総称だったり広い意味合いを持つ。
ガードル
カットを施された宝石の外周部の名称。クラウン部分とパビリオン部分の境目をさす。このガードル部分は磨きの具合や厚みが評価の対象となる。
加熱処理
色の悪い宝石の原石の改善を目的とした処理の方法。主にルビーやサファイアに用いられており、るつぼに入れ1000度以上で熱処理をします。日本でも一般的な方法として認識されており、市場に出回っている約95%以上のコランダム(ルビー、サファイアなど)は卦熱処理がされている。
鑑別
宝石の種類、名称、また研磨以外の人的加工の有無を検査すること。ダイヤモンドの場合は4C評価を検査する。これらの内容を記載したものが宝石鑑別書と呼ばれる。
キャラアップ
1カラット(0.2グラム)以上の宝石の呼び名。キャラアップとなると市場価値も上がる。
キャビティ
ダイヤモンドの表面にあるへこみ。表面の結晶インクルージョンが研磨された際に取り出された際や強打によって生じる。このキャビティの有無が評価に影響がある。
キューレット
ファセットカットやブリリアントカットが施されたダイヤモンドのパビリオン部分の尖端部分を磨いて作ったファセットのこと。大きな場合は黒い穴のように見えるオープンキューレットと呼ばれ、小さすぎると欠けの原因となる。
玉(ぎょく)
玉とは硬玉(ジェダイト)・軟玉(ネフライト)の両方の翡翠の呼び名。ちなみにこれら両者は全く別の鉱物となる。
キンバ―ライト
カンラン石と雲母を主要とする全てのダイヤモンドの母石。
蛍光
波長の短いX線や紫外線を照射することで反応する宝石に、ルビー、ダイヤモンド、合成スピネルを中心にいくつもの種類が存在する。蛍光性の有無や度合は宝石の真贋やクオリティを判断するうえで役立つ場合が多い。
クラウン
ダイヤモンドのガードルから上の部分の名称。
五大宝石
ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドを四つを中心に、アレキサンドライトや真珠や翡翠のいずれかをもって宝石の代表的な五種類の総称とされる。五つめに関しては国や場所によって異なるため、明確な定義は存在しない。
コランダム
酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物名で鋼玉(こうぎょく)とも言われる。純粋な場合は無色透明であるが、結晶内に金属酸化物といった不純物が含まれると、赤、青、黄、緑、紫などの色がつく。赤色コランダムはルビーと呼ばれ、それ以外はサファイアと呼ばれる。
コロンビア・エメラルド
南米のコロンビアは最も良質なエメラルドを産出することで知られている。色味は濃厚な緑色でその中に柔らい味わいがあります。ムゾー鉱山はコロンビア最大の鉱山であり、最高級のエメラルドと言われている。コスケス鉱山は淡い緑色をし、チボール鉱山はやや青みのある緑色をしており内包物が少なく透明度が高い。
【さ行 – 宝石用語】
酸化クロム
無色透明のコランダムを赤色のルビーにする着色成分。金属クロムの酸化物。
ジェダイト(硬玉)
本翡翠とも呼ばれ、濃くで深みのある緑色の場合は高額で取引されるほど希少価値がある。主な生産地にはミャンマー北部のカチン州などがある。
樹脂含浸翡翠
ジェダイト(硬玉)にエポキシ系樹脂を含浸させて、色味の改良を加えたもの。肉眼で判断をするのが難しく、FT-IRなどで樹脂の有無を確認することができる。
シンセチック・ストーン
人工的に作られた宝石のこと。合成石とも呼ばれる。
真珠母貝
真珠を養殖する貝のこと。海水産の場合はアコヤ貝、白蝶貝、黒蝶貝、マベ貝など。淡水産の場合はマベ貝など。
スター効果
針状の包有物を含んだカボションカットをした宝石に光を当てると4条もしくは6条の光が浮き出てくる。この線状の光が星に見えることからスター効果と呼ばれる。
染め石
翡翠やエメラルドの場合は色が薄いなどどいった場合は染色処理をされていることが多い。
この場合は宝石としての価値は下がる。
染色処理
潜晶質の宝石の場合は石の中に隙間があるため、その中に染料を染み込ませることにより色を美しく見せることができる。エメラルドの場合、亀裂が多く入っていることがあるため、染色処理を施すことにより、よりクリアでテリや輝きが増す。
【た行 – 宝石用語】
デビアス
南アフリカのヨハネスブルクに本社を置くダイヤモンドの採掘・流通・卸の会社。ダイヤモンドは永遠と愛の象徴として婚約・結婚指輪の理想であるとした宣伝が有名。日本では「ダイヤモンドは永遠の輝き De Beers」というCMが広く知られている。
テリ(照り)
宝石のクオリティを判断するための、輝き、透明度、色みといった査定基準の呼び名。
天然真珠
天然の真珠は、真珠質を分泌する貝の内側に異物が侵入し、それらから体内を守るために周囲を真珠質で保護をしたために誕生した物質。養殖の真珠はこれらの作業を人為的に行い繁殖をさせたもの。
ドブ貝
養殖用の真珠の核として用いられる貝の種類。アメリカのミシシッピー川で採れるピッグ・トゥ貝が主流だったが、メイプルリーフ、スリーリッジ、ウォッシュボードなどの貝が中心となっている。
【な行 – 宝石用語】
ネフライト(軟玉)
軟玉は硬玉(ジェダイト)に対しての言葉で、硬度が低いことから呼ばれる名称になった。
中国ではネフライトしか産出されずかつては価値ある宝石として扱われていたが、18世紀にミャンマーで硬玉(ジェダイト)が発見されたことで、比較するとネフライトの価値は低くなる。
練り物
粉末状にした天然石とプラスチックなどを混ぜて固めた石。造り物の珊瑚や翡翠にも使われる。
【は行 – 宝石用語】
8ミリ珠
真珠の価値を査定する際の大きさの基準が8ミリとされている。これ以上か以下によって価値が大きく変わる。
張り合わせ石
2つが重なったダブレット、3つ重なったトリプレットや、カボションやラインストーンの裏側に薄い金属を融着させたフォイルバックなどの石は、張り合わせがされていることから模造石として扱われる。天然石、模造石かかわらずに2種類で構成されたものをさす。オパールやエメラルドに多くみられる。
ピジョン・ブラッド・ルビー
ルビーの最上級の品質をさす。語源は鳩の動脈の血液の色に由来する。やや濃い赤で紫外線に対しての発光性が強く妖艶な輝きと美しさを持つ。
分(ぶ)
宝石の重さを表現する際に使用される呼び名。1カラット(0.2グラム)の場合は1分(いちぶ)と呼ぶ。
ファンシーカラーダイヤモンド
ホワイト系以外のダイヤモンドで魅力的な色合いを持つものの総称。色はブルー、イエロー、オレンジ、グリーン、ブラウン、ピンクなどがあり、良いものは高額で取引がされるほど人気がある。
ブリリアント・カット
ダイヤモンドの代表的なカット形式のひとつで、クラウン側が33面、パビリオン側25面の合計58面で形成されているカット手法。一般的には丸型のラウンド・ブリリアント・カットが有名で、ファセットから入った光をもっとも効率よく内部で反射させることで輝きを強め、ダイヤモンドの美しさを最大限に引き出すと言われている。
ブレミッシュ
ダイヤモンドの表面にある小さな傷、穴、欠けなどの総称。中にはとても微小なもの、および引っかいたりぶつけた際にも小さな傷が生じるためブレミッシュがないダイヤモンドはほとんど存在しない。
フローレス
カット・ダイヤモンドを鑑定した際に、内側と外側と共に欠陥がないダイヤモンドに使用される総称。最高の品位のため非常に貴重とされている。熟練したグレーターが適切な照明のもと、ダイヤモンドを10倍に拡大して外側と内側を観察して欠陥が無いことを確認した際にフローレスとされる。
ベリリウム加熱処理
通常の色の改善を目的としたコランダムの加熱処理とほとんど変わらないが、最終段階でクリソベル粉末を加えることで元々の色から別の色に変化させることが可能な処理方法。
代表的なものとして、ピンクサファイアをオレンジ色に変色させ「パパラチア・サファイア」として流通させたことが大きな問題となった。通常の熱処理に対し、人為的な処理がされることから宝石としての価値が低くなる傾向にある。
【ま行 – 宝石用語】
マスターストーン
ダイヤモンドのカラーのグレードを査定する上で使用する色味の基準となるダイヤモンドのこと。キーストーンとも呼ばれる。
メレ―(ダイヤ)
小粒のラウンドカットのダイヤモンドに使われる呼び名。主に0.05~0.2カラット程度のサイズのものを指す。語源はフランス語の混ざったもの(Mixed)に由来する。
モース硬度
宝石そのもののひっかき傷に対する耐久性の数値。宝石の場合は開発者のモース氏の名をとったモース硬度が使用される。代表的なものだとダイヤモンドがもっとも固くモース硬度10となる。ここでいう固さはあくまで「ひっかかいた際の硬度」のため、叩いた場合の堅牢さではない。ダイヤモンドは衝撃には弱く、ハンマーで叩いた場合は容易に砕ける。
【や行 – 宝石用語】
遊色効果
宝石が虹のように多彩な色彩を示す現象。光が物質内部の結晶構造や粒子配列により分光されて乱反射をすることで引き起こされる。代表例としてオパールがある。
【ら行 – 宝石用語】
裸石/ルース
地金の枠などのセットをされていない裸の状態の宝石の呼び名
琅玕(ロウカン)
良質な翡翠(ジェダイト)に使用される言葉。