総梨地盛上蒔絵山水図小箪笥

東京都大田区東嶺町のお客様から、総梨地盛上蒔絵山水図小箪笥をお買取りしました。

蒔絵は漆器の上に薄い漆で絵をかき、その上に金粉や色粉を蒔いて定着させます。漆は接着剤としての役割も持つため、漆が乾かないうちに蒔いた金粉などはしっかりと貼り付いてはがれないので可能になる技法です。
蒔絵には平蒔絵(ひらまきえ)や研ぎ出し蒔絵(とぎだしまきえ)などの技法がありますが、今回のお品物に使われているのは盛り上げ蒔絵というものです。

盛り上げ蒔絵は高蒔絵(たかまきえ)ともよばれます。
文字どおり、蒔絵の部分が高く盛り上がっているもので、一般的には漆上げ(うるしあげ)という技法が使われます。これは上塗りを終えて乾燥させた漆器の蒔絵部分に漆を分厚く盛り上げて置き、盛り上がった部分に金粉を蒔く方法です。

最初の作った漆器の上に、さらに漆を塗って高さを作り出すという手間が余計にかかり、さらに蒔絵をほどこすという二重三重に手のかかる技法のため、高価なものになりがちです。
しかし完成すれば、蒔絵の部分が浮かび上がってくるようで、重厚な雰囲気がある作品に仕上がります。

今回のお品物は、総梨地に盛り上げ蒔絵をほどこした一品です。
梨地(なしじ)とは、最初に梨地粉という金粉銀粉を漆器に蒔き、その上から透漆(すきうるし)を塗って研磨、金や銀を浮き出させるものです。
梨地のために落ち着いた風格が出て、上に蒔いた山水図に奥行きがでます。小箪笥という小さな世界に、山水の理想郷を描いた逸品です。

大田区漆器・蒔絵