彫漆菓子器盆

東京都中野区で彫漆菓子器盆をお買取りしました。

彫漆は、分厚く塗り重ねた漆の表面を削って彫って模様を作る技法です。漆の装飾技法としては最も漆の特徴が生かされた技法と言われ、中国から伝わった後に日本で独自の進化を遂げました。
何層にも塗り重ねた色漆の層をイメージしつつ、どの層まで彫り込んでいいのかを考えながら、綿密に計算してケンとよばれる刀を入れていく高度な技法なのです。

繊細な刃の動きで模様を彫り込むことができるため、立体感のある作品が作れます。さまざまな技法を駆使した名品が数多く残されており、彫漆界には人間国宝の音丸耕堂(故人)などがいます。

今回のお品物はしっとりとした朱色が美しい菓子器盆です。つややかな表面に彫りを入れてモダンな模様を生み出していますが、ここでふと、漆は黒い物なのでは?という疑問が出てきます。
漆は、漆の木の表面に傷をつけ、木からでてくる樹液を採取したものがもとになります。最初の樹液は乳白色で、これをろ過して木の皮などを取り除いて生漆(きうるし)をつくります。この段階では、まだ乳白色のまま。生漆にナヤシやクロメといった生成作業をしたあとに透明で薄茶色をした透漆(すきうるし)ができます。

通常の黒い漆は、生成作業の途中で鉄粉を混ぜて酸化作用によって黒い色に変化させます。
色漆は透漆に顔料を混ぜて作ります。もともとの透漆が薄い茶色のあめ色をしているため、淡い顔料を入れても発色が良くありません。そのため、今回の鮮やかな朱のような色や、緑、黄色、濃紺などの濃い目の色になるのです。

中野区漆器・蒔絵