沈金蒔絵孔雀羽根図花器

東京都世田谷区のお客様から、沈金蒔絵孔雀羽根図花器をお買取りしました。

沈金(ちんきん)という言葉はあまり聞いたことがないかもしれません。漆塗りの器に絵柄や模様をつける技法のひとつで、蒔絵などと同じように漆黒の漆表面に装飾をほどこすためのものです。

沈金は、まず漆器の表面に絵柄を彫ります。
彫った後に漆を引き、引いた漆の上に金粉や金箔をすり入れます。こうすると漆が接着剤になり、すり入れた金粉や金箔がはがれずに残ります。金が漆黒の器の上に沈んで残っているように見えるので、沈金という名前がついています。
沈金の模様は主に腺と点で構成されているため、シンプルな中に深いおもむきがあります。

この沈金の技法は歴史が古くて、もとは約1000年まえの中国で始まった槍金(そうきん)という技法がスタートだと言われます。槍金(そうきん)は、中国から南北朝時代の日本へ伝えられ、当時の経典箱に槍金がほどこされたものが残っています。
日本で沈金が隆盛し始めたのは、江戸時代の享保年間ごろからです。輪島で、漆塗りの表面にノミで彫刻を始めたことから、日本独自の沈金が始まりました。

今回のお品物は、つややかな漆塗の表面に線で孔雀の羽模様を描いたもの。
沈金の技法は点彫りや線彫りなどをベースにして自由闊達に絵を彫り込んでいきます。熟練の職人は定規を使わなくても正確な丸を作ったり、一本の線を同じ深さでまっすぐに描くことができるほど高い技術をもっているのです。

世田谷区漆器・蒔絵