骨董品の売却にかかる税金や相続時の手続きについて

骨董品の売却にかかる税金や相続時の手続きについて

この記事では美術骨董品を相続・贈与・売却した時にかかる税金について詳しく解説しています。
骨董品や美術品に関する、正しい相続の知識を身につけておきましょう。

骨董品の相続時にかかる税金

骨董品や美術品は相続財産に含まれる

遺品整理などで骨董品や美術品を鑑定に出す人は少なくありません。しかし、もしその遺品に価値があるとしたら、それは資産なのかどうかが気になります。

骨董品の器

骨董品は、法律で資産として定められている

まず、骨董品や美術品は相続財産の対象になるものです。中でも、お金に変えることができる骨董品や美術品は、財産評価基本通達135条により、法律上の資産となります。

相続税の計算に含まれることに注意

相続財産に含まれるということは、相続税の計算をする際にも計上される必要があります。もし、これから相続税の計算をするという方は、骨董品や美術品の遺品の価値をしっかりと把握し、きちんと計上しなければなりません。

骨董品の相続の流れ

骨董品を実際に相続する際は、以下の手順で相続の手続きが行われます。

  1. 被相続人が死亡後に骨董品や美術品を鑑定依頼
  2. 査定価格をもとに遺産分割協議をし、配分を決める
  3. 相続手続きの書類などを作成、提出する

基本的には、現金や土地などの他の資産と一緒にまとめて遺産分割協議をしていきます。

ここで骨董品や美術品を計上し忘れていたら大変。あとから親族にそのことが分かれば、「公平に分割されなかった」と、もめる原因にもなり得るため注意が必要です。

どうせ価値はないだろうと思って故人の遺品を放置していた。そして、その後その遺品に価値があることがわかったとあれば、相続人たちは放ってはおきません。故人が亡くなったあとはできるだけ早く遺品の査定をしてもらい、公平に財産分与が行われるようにしましょう。

相続税がかかるのは最低でも3,600万円以上

相続税には基礎控除がある

相続に関する書物

骨董品や美術品に値がつくとなれば、相続税の心配がでてきます。しかし、実際は相続税には基礎控除があり、実際に納税義務が発生するのは3,600万円以上の場合です。意外と該当する人は多くありません。

骨董品や美術品が見つかったからと言って、必ず相続税が発生するわけではないことを覚えておきましょう。

相続財産全体でいくらになるかをまず確認

基本的に相続税は、相続資産の全体で計算します。

骨董品や美術品だけでなく、故人が所有していた土地などの不動産、金品など、トータルでいくらの資産があるかを、最初に確かめましょう。

購入価格ではなく現在の時価が基準

また、骨董品や美術品、貴金属や宝石などは、購入価格ではなく現在の時価が基準となります。そのため、専門家に鑑定をお願いし、今の価値に置き換えたらどのくらいの値段になるのか、算出して貰う必要があります。

過去、数百万する物品でも、今現在では数万円にも満たないものもあります。素人考えで計算して、相続税の算出を間違えないようにしてください。

高額な骨董品や美術品がある場合は?

購入価格だけを見て分配するとトラブルの元に

印鑑

先述の通り、相続財産のトータルを正しく知るには、現在の価値を反映しなければいけません。

購入価格だけを見て分配するとトラブルの元になりますので、必ず現在の価値を鑑定業者に調べてもらってください。

申告しないと税務署に追求されることも

税務署に申告する際は、骨董品や美術品などの写真を撮影し、作品名、評価額などを明らかにする必要があります。「価値はないだろう」と安易に申告を取りやめると、後から税務署に追求される可能性もゼロではありませんので、面倒に感じてもきちんと資産に計上するようにしてください。

実は、骨董品買取業者などに売却した際の取引記録は、業者が税務署に申告しています。そこでもし、相続資産の申告をしていなければ、すぐに税務署からの指摘が入るのです。

基本的には、高額な物品でなければ納税義務が発生することはありません。しかし、税務署からの指摘が入ったのにそのままにしてしまえば、「脱税」と捉えられることもあります。もし、税務署からの指摘が入ったら、きちんと対応するようにしましょう。

美術館に寄付した場合は相続財産にならない

また、もし、高額の美術品などが故人の持ち物から発見されたら、美術館に寄付するのもひとつの手です。美術館に寄付した場合は相続財産にあたらないため、「相続税が支払えない」という人には助け舟になります。

あらかじめ鑑定を行っておくと安心

分配前(生前)に鑑定または査定を

手をつなぐ老夫婦

もし、骨董品や美術品を所有しているなら、トラブルを回避する方法のひとつとして、生前のうちから定期的に鑑定をしておくと安心です。

10年以内であれば同じ価値を保っている可能性があるので、もし、すでに鑑定書などがついていても、前の鑑定から10年が過ぎていれば、再度鑑定に出しておきましょう。

購入費用が分かれば問題がないと思いがちですが、時代が変われば価値は変わるもの。購入費用がいくらかだけで適当に相続財産を分配すると、あとになって高額な相続税が求められるケースもあります。

生前にきちんと鑑定しておけば、所有者が亡くなったあとでもスムーズです。もし、家族に骨董品や美術品の収集が趣味という人がいれば、今のうちに査定してもらいましょう。査定額を知ることで、必要になる相続税などの目安を出すことも可能になります。金額を入力するだけで、相続税の目安を算出してくれるサービスを提供しているホームページもあるので、あわせてチェックしてみてはいかがでしょうか。

ただし鑑定費用は控除対象外

事前に鑑定してもらう際の注意点としては、1点だけ。それは、鑑定の費用がかかるということです。

また、この鑑定費用はいかなる場合も必要経費とはなりませんので、税金の控除は、ありません。全額自己負担で支払う必要がありますので注意してください。

骨董品を生前贈与された時にかかる税金

  1. 年間に受け取った古美術品の査定額が110万円以上なら、「贈与税」がかかる可能性がある
  2. 受け取った古美術品の点数は関係なく、査定額の合計による

生前贈与でも、骨董品によって課税される

それでは、骨董品をもらった・受け取った時には税金は発生するのでしょうか。
この場合、発生する可能性があるのが「贈与税」です。とくにご家族の間で骨董品の受け渡しがあり、それが生前贈与となれば、税金について考えておかれた方がいいでしょう。

こちらも、重要なのは受け取った骨董品の価値・査定額になります。
骨董品に限らず、贈与税は基礎控除として110万円までの非課税枠が設けられています。査定額が110万円以下の骨董品に対しては、生前贈与という形であっても税金はかかりません。

ただし注意しておきたいのは、「年間110万円以下」が非課税枠であることです。
たとえば10万円の骨董品を毎月1点ずつ譲り受けた場合、年間で120万円の骨董品を生前贈与されたことになります。すると基礎控除の上限110万円を超えることになりますので、「贈与税」がかかってくる可能性があるのです。

骨董品の生前贈与時に税金が発生しない金額は

年間で110万円までなら、古美術品を受け取れるわけですが、ご家族のあいだで骨董品の受け渡しがあった場合、これをわざわざ査定に出すことはしないのが一般的です。

それでも気になる場合は専門の買取業者に査定を依頼し、受け取った骨董品の価値を正確に把握しておきましょう。
というのも、骨董品の価値は「時価」であって、査定を行ったときの骨董品市場によって査定額が変わって来るからです。

ちなみに、もし110万円を超える骨董品を贈られたのに申告をしないと、無申告加算税と延滞税が追徴課税されます。評判の良い買取業者は査定が無料ですから、査定だけでも利用されるといいでしょう。

骨董品の売却時にかかる税金

骨董品の売却時の税金

骨董品の売却時に忘れがちなのが税金です。

骨董品や美術品の売却では、一定の条件を満たしたものは課税対象となります。
また税金には「控除」の制度があります。
せっかくの控除をせずに税金を余分に払ったり、申告せずにペナルティを受けてしまったりするのは残念です。

ここでは骨董品や美術品の売却時に知っておくべき「所得税」についてご紹介します。

骨董品売却時に所得税がかかるケースとは

お客様
お客様
骨董品が思った以上の高額で売れたんだけど、税金はどうなってるの?
福助
福助
1つ30万円で売却した場合は確定申告の必要がありますのでご注意ください。

一番気になるのは、「すべての骨董品売却に税金がかかるのか?」という点でしょう。
もちろん、すべてが対象となるわけではありません。
まずは、課税・非課税の対象から見ていきましょう。

売却額が30万円を超えたものが課税対象

骨董品や美術品の売却で課税対象になるかどうかを決めるのは、その種類ではなく金額です。具体的には、売却額が1点(1組)あたり30万円を超えると課税対象となります。

逆に30万円以下であれば非課税となります。壺、掛軸、アンティークドール、貴金属、茶道具など、種類が何かは関係ありません。

これは所得税法により、「生活用動産」は非課税とすることが定められており、骨董品や美術品、貴金属も「30万円以下のものは生活用動産」として認められているからです。

あまり聞き慣れない言葉ですが、税金を考える上ではキーとなるものの一つですので、この機会に覚えておくとよろしいかと思います。

  1. 売却額が1点30万円を超えると、「譲渡所得」とみなされ「所得税」を払う必要がある
  2. 問題となるのは売却額であって、骨董品の種類ではない

セット売りで30万円を超えるとどうなる?

ここで注意したいのが、セットで売った場合はどのようになるかという点です。

1つ1つを分割して評価するのか、まとめて評価するのかで、30万円を超えるかどうか変わってきます。
1つ1つで評価すれば30万円以下になるものも、まとめて評価すれば30万円を超えてしまう可能性があります。

分割できるものであれば、1つ1つ個別に評価して30万円以下に抑え、譲渡所得税を発生させないことが可能です。
ただし茶道具などの一式で取り扱われることが基本のものはまとめて考えるのが妥当でしょう。

他にも、最近は「いろいろなものを取り混ぜて、まとめて○○円」などと査定を受けるケースが増えています。
もちろん、この金額が30万円以下であれば非課税となりますが、合計額が30万円を超えた場合対処方法に注意が必要です。

たとえば3つの古美術品をまとめて35万円で売却した場合、「単純に3で割った金額が1つあたりの売却額」と自己判断するのは危険です。
物件の価値のはかり方には明確な判断基準があるわけではなく個別に判断されることとなりますが、明細がないと3つで1商品と判断される可能性も否めません。

こうなると課税対象となってしまいます。
そこでセットで売却する場合には、1つあたりの査定額を明記した明細書をもらうようにしてください。
明細があれば1つあたり30万円を超えた品がない限り課税されることはありません。

骨董品や美術品の売却に関わるのは「譲渡所得」

お客様
お客様
どんな税金を支払うことになるの?
福助
福助
譲渡所得として計上します。

課税対象となる売却があった場合、どのような税がかかるのでしょうか?
これには、取得費や経費の考え方、また特別控除などもあり、少し煩雑になりますので、順に説明していきましょう。

「譲渡所得」とは?

骨董品やアンティーク、美術品、貴金属などの売却をして得られた利益は、「譲渡所得」と呼ばれます。

[引用]国税庁ホームページ No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)

「譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。」

土地や建物、株式など、投資対象となるものと同じ扱いになっているのは面白い点です。

譲渡所得の計算方法と控除

お客様
お客様
80万円で売却したんだけど、税金は高くなるかしら?
福助
福助
経費や控除の制度がありますので、結果的に税金が、かからなくなるケースもあります。

売却額が30万円を超えると課税対象となるのは前述の通りですが、その全額がそのまま課税対象額となるわけではありません。経費や特別控除を知らなければ、税金を多く払ってしまうことになりますので、ご注意ください。

譲渡所得の計算方法

まずは、計算方法です。以下のようになっています。

短期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)+長期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡益
譲渡益-特別控除額(最高50万円)=譲渡所得の金額

では、それぞれの言葉について説明していきます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い

譲渡所得の金額を算出する際は、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分けます。

  • 短期譲渡所得…所有期間が5年以下…全額を所得金額として計算
  • 長期譲渡所得…所有期間が5年以上…2分の1を所得金額として計算
  • 美術品や骨董品売却にかかる所得税は、その他の所得(給与など)と合わせて「総所得金額」を算出し、それに税率をかけて算出します(総合課税)。

    この総所得を算出するとき、保有年数が5年以下の場合は売却益の全額を加算しますが(短期譲渡所得)、5年以上の場合は半額のみの加算となります(長期譲渡所得)。

    つまり、同じ額で売却しても、保有年数によって所得税額に違いが出ると言うことです。

    現在お持ちの骨董品や美術品を売却しようとする場合、税金の面から考えれば、5年以上所有している方が税金は安くなります。

    たとえば所有期間4年11ヶ月で売るのと、1ヶ月待って5年経ってから売るのとでは加算するべき所得金額に差がでますので、売り時を考える際の要素のひとつとすることをお勧めします。

    特別控除は最高50万円

    譲渡所得には「特別控除」として、差し引いてもらえる金額が設定されています。
    売却した財産の種類によって「特別控除」できる金額が決まっています。
    骨董品や美術品の場合は、50万円です。

    50万円をマイナスするときには、まず短期譲渡所得の譲渡益から控除します。その金額が50万円に満たない場合、残りを長期譲渡所得の譲渡益から控除します。

    もし、譲渡益が50万円より少ない場合は譲渡所得がないので、譲渡所得として加算すべき金額は「ゼロ円」となります。

    取得費に含められるもの

    取得費とは、売却した骨董品や美術品の購入代金のことです。
    また、購入時に払った手数料や修理などをした費用(経費)も取得費に含めることができます。

    中には「取得費がわからない」というケースもあるでしょう。
    例えば、購入してから時間が経っているケースやその時の領収書などが見当たらない、故人のコレクションだったなどケースです。

    この場合、国税庁では「譲渡金額の5%をみなし取得価格とする」と決められています。30万円の商品であれば、15,000円を取得費にできるということです。

    ただ実際には15,000円で購入した骨董品を30万円で売却することは稀です。
    30万円で売れたなら、もっと高額で購入しているはずです。

    5%を取得費とすると損をしてしまう可能性があるので購入時の領収書などは必ず取っておくようにしてください。

    譲渡費に含められるもの

    譲渡費とは、売却をするためかかる経費のことです。
    例えば、売却するために運賃がかかったり、移動をしたり、振込手数料を払ったりした場合、これが譲渡費となります。

    非常に細かいものも多くありますが、領収書などはしっかりまとめておくことが節税につながります。

    所得税の税率はどれくらい?

    お客様
    お客様
    所得税ということは、他の所得も関係するってことよね?
    福助
    福助
    もちろんです。累進課税ですので、税率が変わる可能性もあります。

    課税が決まった場合、気になるのは「結局、いくら払うのか?」という点でしょう。

    所得税は、課税される所得金額に税率をかけたものとなります。日本は累進課税となっており、所得が高い人ほど税率が引き上がるシステムになっています。その税率は、5%~45%です。

    課税される所得金額税率控除額
    195万円以下5%0円
    195万円を超え 330万円以下10%97,500円
    330万円を超え 695万円以下20%427,500円
    695万円を超え 900万円以下23%636,000円
    900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
    1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円
    4,000万円超45%4,796,000円

    ここで注意したいのは、累進課税の税率が段階的に決められている点。たとえば、課税される所得金額が325万円という人がいたとします。この場合、税率は10%-97500円。つまり、22万7500円となります。

    ところが、骨董品を売却したことで譲渡所得として加算する金額が10万円あった場合、その合計額は335万円となります。税率は1段階上がり、「330万円を超え、695万円以下」となり、20%に増えます。結果的に所得税として支払う金額は、335万円×20%-427500円=24万2500円となります。

    さらに、所得金額は住民税や国民健康保険料の算出根拠ともなります。所得が上がるとここでも負担額が増えることになります。

    これは、もっとも顕著な差が出る例ですが、「骨董品を高く売ってよろこんだものの後で痛い目を見た」とならないために、できるだけ譲渡所得を抑えましょう。そのため取得費などの領収書はしっかり残しておくべきです。

    無申告のペナルティは?

    お客様
    お客様
    バレなきゃいいんでしょ?
    福助
    福助
    無申告にはペナルティがありますので、必ず申告をしてください。

    譲渡所得は、確定申告で申告します。もし、申告しなかった場合、無申告加算税や延滞課税などのペナルティが課されることとなります。

    故意に申告書を提出しない場合、悪質だとみなされでば重大な犯罪と判断され、「500万円以下の罰金もしくは5年以下の懲役、もしくはその両方」が課せられることがありますので、ますので注意が必要です。

    不明な点は、税理士や税務署に確認する

    お客様
    お客様
    個別に相談に乗ってもらう方法はあるの?
    福助
    福助
    税務署の税務相談なら無料で相談に乗ってもらえますよ。

    税金に関しては、解釈にズレなどが生じることがあり、自己判断には限界があります。
    思わぬことにならないために、信頼できる税理士に相談をするのもひとつの手段です。

    ただ、日常的に骨董品の売却を訳ではなく、他の所得も決まったものしかないという人は、わざわざ税理士を雇うことに抵抗があるかもしれません。

    そのような場合は、税務署の相談窓口を利用するといいでしょう。確定申告の時期には、申告相談ができるところを特別にもうけるケースもありますので、積極的に利用してください。

    また、ここでの説明は、譲渡所得を基本とした説明をしてきましたが、骨董品や美術品の売買件数が増えてくると、営業活動として行う「事業所得」と見なされることもあります。

    たとえば、オークションで骨董品の売買をしているうちに扱い件数がどんどん増えてしまった場合などです。こういったケースも、税務相談を受け、正しい申告を行うようにしてください。

    まとめ

    骨董品や美術品の売却を気軽に行う人が増えていますが、納税は国民の義務であり無視することはできません。

    骨董品や美術品を高額で売却できても、その申告漏れによりペナルティを受けるのでは意味がありません。
    ぜひ必要な手続きをしっかりと行い、気持ちよく骨董品収集や売却を行ってください。

    骨董品買取

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