禅師白隠

白隠慧鶴(はくいん えかく 1686-1769年)は、禅画と墨跡をあらわした禅師です。
15歳で出家し、厳しい修行の後、42歳でコオロギの声を聴き悟りを開きます。

悟りを開いてからは、曹洞宗、日本三大禅宗の一つ黄檗宗(おうばくしゅう)と比べて衰退気味であった臨済宗の復活に尽力し、地元駿河国原宿(静岡県沼津市)で布教を続けました。

その功績は「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」と富士山と同等に謳われたほどでした。
ちなみに、現在でも臨済宗十四派では白隠を中興の祖としてあがめており、坐禅の際は白隠のあらわした「座禅和讃」を読誦しています。

白隠は民衆への布教にことさら熱心に取り組み、禅の教えを広める過程で描いた絵は1万点もしくはそれ以上ともいわれています。

デッサンの狂っている人体や衣服の平面的な線から、絵画の技術は独学ではないかと考えられていますが、現実を超越した表現は奇想の画家として知られる曾我蕭白らに強い感銘を与えました。
掛軸「達磨図」や、禅の教えを絵解きするような絵画を多く描いています。

この技法を無視するような傾向は、禅の高僧があらわす真跡、いわゆる直筆の文書である墨跡にもみられます。
技術の裏を描くようなその稚拙で気高い表現を、書家で書史家の石川九楊(いしかわ きゅうよう 1945-)は「書法の失調」という言葉で言いあらわしました。

書を形成する書法が取り去られ、書でなくなることで書として成り立っているという意味です。

海外でも人気の高い白隠の掛け軸は高価買取が期待できます。

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