貴金属の種類と特性

貴金属の種類と特性

代表的な貴金属の種類

 
「貴金属とは何か?」と考えると、正確には知らない……と思ったことはありませんか? 貴金属には希少価値があり、宝石とともにデザインされて大切な資産として売買・所有されています。

貴金属の正しい知識を持っておくことは、資産価値を知ることにつながります。一般的に「貴金属」と呼ばれる金属は、以下の8種類です。

  1. プラチナ(プラチナ族)
  2. パラジウム(プラチナ族)
  3. ロジウム(プラチナ族)
  4. ルテニウム(プラチナ族)
  5. オスミウム(プラチナ族)
  6. イリジウム(プラチナ族)

この記事では貴金8種類の特性や主な使用用途をご紹介します。お手持ちのジュエリーの素材を知っておくと、より愛着がわきそうですね。

主な貴金属3種類「金」「銀」「プラチナ」

まず、主な貴金属3種類である「金」「銀」「プラチナ」の特性を見ていきましょう。
貴金属は、空気中で非常に安定している物質です。耐腐性が高く、酸やアルカリ性に対しても強いのが特性。変質しにくいからこそ、資産価値が高いのです。

「金」の特性

名称
元素記号 Au
特性 酸化しにくい
展性・延性が高い
融点が低く、加工しやすい

「金」は、古代エジプトの時代から貴重な金属として大切にあつかわれてきました。
王族が身に着けるジュエリーや祭祀の道具などが主な用途で、権力や財力を象徴する重要な金属でした。

金が重要視される理由は「酸化しにくい・変色しにくい」という点があげられます。
基本的に金は、一般的な使用状況では酸化しません。そのため約5000年前の古代エジプト時代に作られた装飾品であっても、今も、作られたころと同じように輝いています。

酸化しないということは、貴金属としての価値が下がらないと言うこと。金が貨幣の材料として使われているのは価値に変動が少ないからです。

ちなみに、金を溶かすことができるのは、「王水」という特殊な酸。
濃硝酸と濃塩酸を混ぜた非常に特殊な酸を使わなければ溶解することができないくらいに、金は化学的に見ても、安定した金属なのです。

また金は加工がしやすい点も重要な特質です。
展性・延性が高いため、非常に薄く延ばすことが出来ます。金箔を作る場合、1gの金で約3mの箔を作れると言われています。指輪やネックレス、イヤリングなど小さな金のジュエリーに繊細な細工ができるのも、展性・延性の高さを生かしているからです。

さらに融点が低いため加工しやすい。融点とは固体が液体へ変わる温度で、金の融点は1064度です。一般的なジュエリー加工用ガスバーナーの温度は約1300度ですから、比較的、加工がしやすい金属です。

ただし展性・延性の高さは、金属として柔らかいという意味にもなります。そのため金の指輪やネックレスなどは、他の金属を混ぜ合わせて「合金」を作って加工されることが多いのです。資産用の金貨はほぼ純金のK24ですが、多くの金ジュエリーではーでは純度18/24のK18が使用されます。

K18を作る場合、全体の約75%の金に対して、残りの25%に「割り金(わりがね・わりきん)」と呼ばれる他の金属を混ぜ合わせます。割り金には硬度を上げる目的に加えて、金に色を付けるという役割もあります。

たとえば女性に人気のピンクゴールドは、金に銀・銅・パラジウムという金属を混ぜたもの。イエローゴールドには銀・銅が、ホワイトゴールドにはパラジウムまたはニッケルが混ぜられています。

「銀」の特性

名称
元素記号 Ag
特性 光反射率が高い
展延性が高い
銀イオンには殺菌効果がある

「銀」は古くから装飾品や硬貨、食器として使われてきたおなじみの貴金属です。現在ではジュエリーの材料としても好まれ、さまざまなデザインのアイテムが作られています。

銀の特性としては「光反射率の高さ」があげられます。可視領域での光反射率は98%。これは全金属中で最大です。銀は非常に美しい金属光沢をもっているのです。日本の古い言葉でも、銀は「しろがね・しろかね」と呼ばれており、古代から珍重されてきたことが分かります。

また、銀の特性として「硫化」があります。酸化しにくい貴金属なのですが、「硫化作用」で表面が黒ずんでくることがあります。「硫化」とは、銀が空気中のオゾンや亜硫酸ガス、硫化水素と反応すること。銀表面に「硫化銀」と言う物質ができ、黒く変色します。

さらに銀は展延性が高いのも特性です。銀を伸ばした銀箔では、0.15マイクロメートルの薄さに加工できるほどに柔らかく、良く伸びる金属なのです。
細かい加工がしやすいため、昔から食器にも利用されてきました。
とくにヨーロッパの支配階級や富裕階級では、美しい模様の銀食器が家代々の資産として受け継がれてきました。

食器には「スターリングシルバー」と呼ばれる銀合金がよく使われます。スターリングシルバーは銀92.5%に、銅7.5%が入ったもの。「シルバー925」とも呼ばれ、純銀よりも硬度が高く、硫化しにくい特徴があります。

ちなみに、昔から銀食器が愛用されてきた理由には、「熱伝導率の高さ」もあります。銀の熱伝導率は、全金属中で最大です。食べ物の熱がすぐに食器へ伝わるため、温かい食べ物は温かいまま、冷たい飲み物は冷たいまま味わうことが出来るのです。

最近では銀イオンの殺菌効果にも注目が集まっています。銀イオンはバクテリアに対して殺菌力を持っているため、銀化合物を使った抗菌加工グッズが作られています。

「プラチナ」の特性

名称 プラチナ
元素記号 Pt
特性 耐久性があり、変質しにくい
融点が高く、耐熱性がある
比重が高い

「プラチナ」は、産出量の少なさから希少性の高い貴金属です。これまでに産出されたプラチナの総量はわずか4,000トンと言われており、価格は金よりも高くなることもあります。用途は多岐にわたり、ジュエリーや純プラチナコインだけでなく、自動車用触媒や医療機器など工業用品の材料としても不可欠。有用性の高い貴金属です。

特性としてまず挙げられるのは、耐久性の高さです。通常の生活で使用している状態ならサビたり変色したりすることはほとんどありません。イオウの温泉に入れても変色しませんし、王水という特殊な酸以外では溶解することもありません。
指輪やネックレスなど日常的に身に着けるジュエリーの素材としては、非常に使いやすいでしょう。

金・銀とプラチナの大きな違いは、融点の高さにあります。固体のプラチナが液体に変化する融点は1769度です。金の融点が約1064度、銀は約960度なのと比べると、プラチナの融点は飛びぬけて高いです。それだけ耐熱性・耐火性が高いことになり、1000度を超えるという住宅火事の後でもプラチナの結婚指輪は形をとどめているということも多いようです。

また比重が21.45ととても重いのも特徴です。金の比重は19.32、銀は10.5です。プラチナと銀は同じようは白銀色をしていますが、比重は2倍。一見、よく似ている貴金属ですがプラチナは小さくても手に取ると重量感があります。

耐久性・耐熱性が高く美しい貴金属のため、プラチナの加工技術が確立した18世紀以降、王侯貴族の装飾品として使用されるようになります。とくにフランスのハイブランド、「カルティエ」の3代目ルイ・カルティエがプラチナジュエリーの制作に力を入れたことから、人気が高まったと言われています。

日本でも変質しにくい・変色しないことから「永遠の愛」の象徴とされ、結婚指輪や婚約指輪で人気の素材です。

なお、プラチナは日本語で「白金」とも呼ばれるため金の一種と思われがちですが、まったく別の金属です。プラチナは金より重く、酸やアルカリに強くて高温でも溶けづらい特性を持っています。

プラチナ族の貴金属 5種類

貴金属8種類のうち、プラチナを含む6種類は「プラチナ族」と呼ばれています。ここではプラチナを除く5種類の特性を見ていきましょう。

  1. パラジウム(プラチナ族)
  2. ロジウム(プラチナ族)
  3. ルテニウム(プラチナ族)
  4. オスミウム(プラチナ族)
  5. イリジウム(プラチナ族)

「パラジウム」の特性 

名称 パラジウム
元素記号 Pd
特性 展延性が高い

「パラジウム」は、1800年ごろにプラチナとともに発見されました。産出量は少なく、プラチナ採掘時に副産物として取れるという希少価値の高い貴金属。硬度が高いため他の貴金属の割り金として使われることが多いです。例えば金にパラジウムを混ぜることでホワイトゴールドになります。
使用用途はジュエリー材料のほか、電子機器や自動車用触媒、歯科治療の銀歯など。装飾品・日用品・工業用が主な用途です。

「ロジウム」の特性

名称 ロジウム
元素記号 Rh
特性 耐久性が高い

「ロジウム」は、プラチナとともに産出する貴金属です。光反射率は80%あり、プラチナ族の中で最大。美しい白銀色ですが産出量が非常に少ないため、ロジウム単体で装飾品の素材になることはありません。ほかの貴金属の割り金になったり、メッキをかけたりするときに使われます。

またプラチナ族の中では一番硬度が高く、耐久性もあります。プラチナや金が融解する「王水」という特殊な酸でもロジウムを溶かすことはできません。

「ルテニウム」の特性

名称 ルテニウム
元素記号 Ru
特性 硬度が高い

「ルテニウム」も、プラチナとともに産出される貴金属です。沸点・融点が高く、硬度も高いため、工業用素材として使用されることが多いです。同じプラチナ族の貴金属「オスミウム」との合金は、工業用触媒や万年筆のペン先などに使われています。産出量は多くなく、単体でジュエリー素材になることはありません。割り金のほか、メッキ用にも使用されます。

「オスミウム」の特性

名称 オスミウム
元素記号 Os
特性 腐食に強い

「オスミウム」は比重が大きいのが特性です。22.59g/㎤という比重は、貴金属として最大。融点は3033℃で硬度も高く、酸やアルカリに対して強い耐性があります。

腐食に強いためルテニウムとの合金にして工業用触媒や万年筆のペン先として使われています。

「イリジウム」の特性

名称 イリジウム
元素記号 Ir
特性 腐食に強い

「イリジウム」はすべての金属の中で、もっとも腐食に強いと言われる金属です。プラチナが融ける「王水」でも、イリジウムは溶解することができません。硬度は高いのですがもろく、融点も非常に高いため加工するのは困難です。粉末にして割り金として使用されます。

プラチナとイリジウムの合金は「白金イリジウム」と呼ばれ、ガソリン車の部品であるスパークプラグに使われています。

不要な貴金属の買取は、経験豊富な業者へ

「貴金属」8種類は、装飾品のほか工業用品や文房具、歯科治療などさまざまな分野で必要とされている金属です。

耐久性の面から加工時に他の貴金属を混ぜて合金としているものも多く、メッキコーティングされているものもあります。指輪やネックレスにどれだけの金やプラチナが使用されているか、判定するには経験と知識が必要でしょう。

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