幽霊の掛軸の買取相場

幽霊の掛け軸というと、いわくつきの恐ろしい作品を想像するかもしれません。
ですが、江戸時代には魔除けの効果を期待して飾られていたこともあります。丸山応挙や著名な浮世絵師の作品は現代でも驚くような価値が出ることも。

幽霊の掛け軸のみどころ、有名絵師、置かれている寺院についてご紹介します。

幽霊の掛け軸の買取相場は?

幽霊の掛け軸の買取相場は、数万円〜数十万円と作品によって大きく価格差があります。

人間の情念や怨みを描き、狂気と儚さがないまぜとなった幽霊の掛け軸。
江戸時代には、表装の部分に柳の木や背景を描くことで、飛び出して見えるような工夫も施されました。現代でいうトリックアートのような仕掛けですね。

  • 精緻に描かれた恐ろしいリアルな掛け軸
  • 有名な日本画家、浮世絵師によって描かれた掛け軸
  • 遠近法など当時の新技法を使って描かれた掛け軸

などは、高額査定が出やすい掛け軸です。

幽霊の掛軸の価値は何で決まるか

幽霊の掛軸を買取、販売する際に注目したいポイントは次の3点です。

有名作家の作品であるかどうか

円山応挙、葛飾北斎といった教科書に載るような著名人の掛け軸は、数百万円で落札されたこともあります。
一般的に有名でなくても、コレクターの間で有名という場合があるので少しでも気になった掛け軸があれば査定を依頼してみましょう。

落款や署名、共箱がそろっているかどうか

落款や署名は、掛軸が真作であるかどうかを判断する重要な材料になります。
有名作家の作品であればあるほど巧妙な偽物が出回りやすいので、さまざまな角度から本物かどうかの審査をしなければなりません。

保存状態が良好であるかどうか

掛軸は紙製であるため劣化しやすく、カビや破れによって作品が損なわれてしまうことがあります。
軽微な汚れであれば専門の修復業者がきれいにできますが、全体にカビや汚れが広がっていると価格をつけるのが難しいケースもあります。

幽霊の掛け軸で有名な画家

幽霊画は、江戸時代から明治期にかけて特に流行しました。
暗いトーンにおどろおどろしい情念を描く幽霊画は、日本画においても浮世絵においても特に難しい技法を要するとされました。

ユーモラスなものから恐ろしいものまでさまざまな掛け軸が伝わっています。

円山応挙

円山応挙(まるやまおうきょ)は、1733年に生まれた江戸時代中期〜後期の絵師です。京都画壇に現在まで続く、円山派の祖として知られていますが、幽霊画の巨匠としても有名なのをご存知でしょうか。
一説には、足のない幽霊の姿を描いた第一人者とされています。

葛飾北斎

葛飾北斎(かつしかほくさい)は、1760年頃に生まれた江戸時代後期を代表する浮世絵師です。
「百物語」から四谷怪談のお岩さん、番町更屋敷のお菊を描いた作品が残っています。

月岡芳年

月岡芳年(つきおかよしとし)は、1839年に生まれました。幕末から明治中期にかけて活躍した浮世絵師で、亡くなった妊婦が変化した姿である「産女」や、「番町皿屋敷」のお菊、病んで衰えた女郎の姿を描いています。

応挙の絵から幽霊が飛び出してくるブラックジョークを含んだ作品も残しています。

鳥山石燕

鳥山石燕(とりやませきえん)は、1712年頃に生まれた画家・浮世絵師です。妖怪画で知られ、「画図百鬼夜行」という妖怪画集があります。そこに「幽霊」と題された作品が収録されています。

三代目歌川広重

三代目歌川広重(うたがわひろしげ)は、1842年に生まれた浮世絵師で、江戸〜明治時代にかけて活躍しました。
初代歌川広重の弟子であり、明治の文明開化にまつわる事物、蒸気機関車、散切り頭、人力車などを積極的に描きました。

瞽女(ごぜ)という盲目の女性旅芸人を描いた、あえかな幽霊画がよく知られています。

幽霊の掛け軸はどんな時にかける?

江戸時代には、幽霊の掛け軸が魔除けになると考えられていました。
江戸の人々は迫力のある幽霊の掛け軸に、家内安全や病魔退散の祈りを込めたのかもしれません。また、歌舞伎や落語の怪談ものが流行したのも江戸時代です。

有名な幽霊の掛軸があるお寺や美術館

日本国内には、幽霊の掛軸や幽霊画で知られる寺院があります。
京都の曼殊院のように幽霊の掛け軸を撮影すると障りがあるとされる場所もありますが、今回は比較的マイルドな掛け軸を紹介します。

人吉市の永国寺

熊本県人吉市にある永国寺は、「幽霊寺」という異名をもつ寺院です。室町時代に実底和尚(じっていおしょう)が描いたとされる、女性の幽霊の掛軸が収められています。

普段お寺にかけられているのはレプリカですが、毎年8月に開催される「ゆうれい祭り」では本物の掛軸を見ることができます。

大田原市の大雄寺

栃木県大田原市にある曹洞宗の大雄寺には、「枕返しの幽霊」という掛軸があります。足のない老女が描かれており、この掛軸をかけた部屋で眠ると、翌朝には反対の向きに枕が返されてしまうという怪談が伝えられています。

大雄寺では、命に感謝して悔いのないようにしっかりと生きるのが人の務めであるものの、なんらかの出来事によって無念の死を遂げた者がそのことに苦しみ、成仏できずに幽霊になると説いています。

弘前市の久渡寺

青森県弘前市にある真言宗智山派寺院である久渡寺には、円山応挙が亡き妻を描いたとされる幽霊の掛け軸「反魂香之図」があります。

この掛け軸は、応挙の妻の命日である旧暦5月18日に1時間だけ公開されるのですが、公開すると必ず雨が降るという言い伝えがあります。

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江戸の浮世絵師、日本画家の掛け軸、いずれも高額査定が期待できる逸品です。
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