絵画売却には税金がかかる?譲渡所得は30万円がボーダーライン

絵画売却には税金がかかる?

絵画売却にかかる税金について

絵画は投資目的で購入する場合もあるでしょう。
しかし、絵画や美術品・骨董品の売却や投資をおこなうためには

  • 売却にかかる税金
  • 課税対象の範囲

についてあらかじめ知っておく必要があります。
課税対象になる美術品については、国税庁によってその金額が定められています。

課税対象のボーダーは30万円:それ以下は生活用有動産に

絵画や美術品・骨董品は、

  • 絵画の売却価格が1点または1組が30万円超え→課税
  • 売却価格30万円以下の絵画→「生活動産」とみなされ非課税

と決められています。
描かれた時代や、版画や油彩、水彩など描いた方法に関わらず、30万円以上という金額が基準になるので注意しましょう。
なお、対幅のように数点がセットとして一つの作品担っている場合は、セットの総額で判断することになります。

絵画売却の前に知りたい税金「譲渡所得」の基本

絵画を売却する時にかけられる税金は、譲渡所得といいます。
譲渡所得は、次のようなものです。

  • 自分の財産を第三者に移す時にかかる税金
  • 土地や建物、ゴルフの会員権を他者に譲る時にもかかる
  • 12月31日までにおこなった資産の売却すべてにかかる

絵画売却だけでなく、そのほかに譲渡したものがたくさんある時は、税理士に相談すると良いでしょう。

例題つき譲渡所得の計算式

譲渡所得の計算式は、次の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費 + 譲渡費用)- 50万円

  • ※取得費:手数料・設備費含む
  • ※譲渡費用:買取依頼の出張料・振込手数料含む
  • ※50万円:譲渡所得における特別控除額

買取が成立した際には細かな費用の見積書か、各費用の分かる領収書を発行してもらうようにしましょう。
例として計算してみましょう。

【絵画の買取価格100万円、取得費10万円、譲渡費用10万円の場合】

譲渡所得 = 100万円 – (取得費10万円 + 譲渡費用10万円) – 50万円

この場合、譲渡所得 = 30万円

となります。
しかし、この計算式に当てはめて0円以下になる場合は、譲渡所得を支払う必要はありません。例を挙げてみましょう。

【絵画の買取価格60万円、取得費5万円、譲渡費用5万円の場合】

譲渡所得 = 60万円 – (取得費5万円 + 譲渡費用5万円) – 50万円

この場合は、譲渡所得 = 0円

となるので、支払うべき税金は発生しません。

相続などで取得費が分からない絵画がある場合の計算方法

しかし相続などで絵画を得ると、購入金額が分からない、領収書がないので取得費も不明というケースも考えられます。
国税庁では、取得費が分からない場合、

  • 取得価格:譲渡金額の5%

と定めています。
例を挙げると次のようになります。

【絵画が買取価格80万円、取得費不明、譲渡費用10万円の場合】

譲渡所得 = 80万円-(4万円 + 10万円)- 50万円

譲渡所得 = 16万円

長期譲渡所得と短期譲渡所得

譲渡所得は、所持していた期間によって安くなることもあります。

  • 保有年数5年未満:短期譲渡所得
  • 保有年数5年以上:長期譲渡所得(課税対象が価格の2分の1に)

先に紹介した計算式は、保有年数5年未満の絵画や美術品に対して適用されるものです。
しかし5年以上保有していた絵画は「長期譲渡所得」に該当するため、軽減されます。
そのため、投資目的で高額な絵画を購入したり売買したりしようと考えている方は、5年以上保有してから売却を検討すると良いでしょう。

絵画売却における税金「譲渡所得」の申告について:2つのポイント

譲渡所得の申告は、確定申告の基本をおさえておくことでスムーズにおこなうことができます。

ポイント1. 住民税・国保税にも関連する

譲渡所得の金額は、所得に応じて金額が変動する税金の算出根拠の一つとしても利用されます。所得に応じて金額が変わる税金には次のようなものがあります。

  • 住民税
  • 国民健康保険税

30万円を超える絵画を一気に売却して大きな利益を得た場合は、住民税や国保税に影響するので覚えておきましょう。これらの税金は前年度の所得に応じて金額が変わるため、売却したことを忘れて翌年の税金額に驚く人も少なくありません。
忘れた頃に慌てないよう、高額な絵画売却は計画的におこないましょう。

ポイント2. 売却にともなう所得税は5〜45%の変動制

所得税の税率は、

  • 5〜45%の変動制

例:195万円以下は5%
例:4000万円超は45%

となっています。
絵画を売却して得た金額にかかる所得税は、譲渡所得によって課税・非課税が決定する、これは先ほどご紹介しました。
非課税の範囲内であれば問題ありませんが、課税対象となった場合は所得税の税率についても知っておく必要があります。「所得税の計算式」で検索すると自動の計算フォームが出てくるので、税率を知りたい方はそちらを活用するとよいでしょう。

さまざまな数字が出ましたが、キーとなるのは

という点です。それ以下の範囲であれば、日用品と同様の扱いになるため、税金や所得の数字を気にせず売却できます。